長編

□プロローグ〜一章
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私の分身が、思い出したようにこう話した。
頭に、少し低いが、聞き心地の良い声が響く。


(そういえば、1000年前ほどに東洋の地獄の閻魔大王が変わったな。忘れていたが、たまに顔を出すか...どのように変わっているのだろうな)


「1000年も経てばだいぶ変わってるんじゃない?あんたの部下は地獄にいるの?」

(最近はみな自由に動きまわるようだな、特に命じることもない。)

「最近、結界張るまでもないくらい平和だもんねー。おかげで堕落していく者は多いんじゃない?」


(現世がそうだとしたら、地獄はさぞ忙しいのだろうな。準備をしろ。行くからには急がねば)


「しろ?え?あんたが行くんじゃないの?私と意識を交代させてさ?」


(お前の力も強大になっただろう。私が出るまでもなく、お前自身だけで十分だ)


あやめは驚いた。分身がここまであやめを褒めることはめったにない。少し照れながらも、それを隠して答えた。


「ま、それも一興。面白そうね。生者がそのまま地獄へダイブ!なんてかなりの物好きだろうけど!ふふふ。」



あやめはさも面白そうに、愉快に笑った。



夜、人気のない山の下へあやめは向かった。
印を結び、魔方陣を発動させ、下へ潜る。


ああ、とてもいい予感がする。
久々に楽しめそうだ。
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