色彩の庭園

□運命の使い人
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『自転車、…リヤカー?』



小首を傾げると、
後ろから声がしました。



「高尾はいないのか?」


『わっ!緑間くん…!』


「何をそんなに驚いているのだよ」



めがねを、指で押し上げる動作が
ひどく様になっています。



『高尾さん、ですか?
 それらしき方は、みていませんけど…』


「ならいいのだよ、アイツがいたら
 何を喋りだすのかわからないのだよ」


『そうなんですか?
 お友達だから探してるのかと思いました』


「そーそー、お友達だからオレ探したんだぜ?真ちゃん」



不意に会話に参加してきたのは、
おそらく高尾さんでしょう。



なんだか、仲がよさそうで羨ましいです。



『白羽彩璃です』


「彩璃ちゃんか〜オレは高尾和成
 よろしくな」



手を差し出されたので、
私も差し出すとしっかり握られる。
少し気恥ずかしかったけれど、



綺麗な笑顔に、胸が高鳴る。



「お前はいつまで握っているのだよ」



緑間くんに引きはがされると、
高尾くんは何かを見つけたように、
少しニヤニヤしていた。



『あの、緑間くん』


「何だ?」


『その手に持っているのって、何、かな』


「犬のぬいぐるみだが」


『あ、うん…そうだね』


「それを何のために持ち歩いてんのかが聞きたいんしょー?」



はい、そうです!
といわんばかりに頷くと、
彼はさも当然のように答えてくれました。



「決まっているだろう、
 今日の蟹座のラッキーアイテムなのだよ」


『…………そう、ですか…』





ー運命の使い人ー

(人事を尽くす君は、)





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