色彩の庭園
□軽快愉快な道化師さん
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門をでてすぐに、もはや見慣れてしまった
“チャリヤカー”たるものが置いてありました。
でも、持ち主はあたりにいないようです。
『これで登校するのって、恥ずかしくないのかな…』
小声でつぶやいて、
そっと指先でふれてみました。
そのとき、誰かから声をかけられ振り向くと。
「彩璃ちゃんじゃん」
『高尾くん、こんにちは…です』
「固っ苦しいのは無し!和成でいいぜ」
『……じゃあ、和成くん。こんにちは』
彼の笑顔はとても暖かいです。
頭を撫でられて、不意に心臓が高鳴ります。
どうしてこう、
皆さんかっこいいのでしょうか。
『和成くんは、真太郎くん待ちですか?』
「そっ、だけど全然出てこないんだよな〜」
『お時間大丈夫なんですか?』
「いや、まだ余裕なんだけどな」
そういわれて思い出したのは、
時間がないのは自分だったということでした。
『ごめんなさい、和成くん
また、今度…』
「急いでんの?なら、送ってやるよ」
『えぇ?でも…』
私が慌てだすと、
和成くんは吹き出したように笑いました。
ー軽快愉快な道化師さんー
(チャリアカーは、やっぱり恥ずかしかったです)
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