砂糖菓子の恋人たち
□百戦百勝って、何か重いよ
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『わっ』
部員が集まると、体育館の熱気はすごかった。
私の心も比例するようにあがっていく。
体育館の二階には誰もいなくて、
私だけが一軍の練習を上から見おろしてる。
その感覚は、不思議だった。
キセキのみんなは、髪色ですぐどこにいるかわかる。
黒子は、まぁ探すのが楽しい。
ミニゲームをやるのか、
部員と部員が対面するような形で礼をする。
『…はぁっ……楽し…そ…ぅ』
すごく熱い。
息ってこんなにしずらかったっけ?
興奮しすぎ?
いろいろグルグル回って、
床に倒れ込んだ。
音はあまりしなかったし、
ボールの音でたぶんかき消されたかな。
『(なに、してんだろ。立ち上がらなきゃ)』
そう思っても体は動かない。
自分に熱があるのだとバカな私は気づかなかった。
『(この感覚、なんか久々…)』
試合の音を聞きながら、
意識はゆっくり沈んでいった。
****
「あれ?藍里ちゃんは帰ったんスか?」
「今日は最後までみていくつもりだと張り切っていたが」
「急な用事でもできたんじゃねぇの」
「ん〜、でも帰るときは報告するようにって赤ちんに言われてたよ」
「…っ橙時さん!?」
「えっ、テツくん?」
上をぼ〜っとみていた黒子が、
急に動き出す。
階段をかけあがり、二階へ。
そこには、倒れてる彼女がいた。
苦しそうな息。
赤い頬。
時折せき込む姿。
紛れもなく風邪だ。
後からキセキたちもあがってくる。
「オレ、赤司っち探してくるっス!」
「オレもいくのだよ」
迅速な判断で、
とりあえず黒子・桃井・紫原は彼女を保険室へと運ぶことにした。
残りの三人は、監督との用事で姿を消した赤司の捜索。
「橙時の家知ってんのあいつだけだったよな」
「オレ行ったことないっスもん」
「あいつはそもそも、赤司以外に俺らと関わりがなかっただろう」
三人は別れて赤司を探すことにした。
ー百千百勝って、何か重いよー
(キセキ、走る)
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