砂糖菓子の恋人たち

□キセキの世代は変人ぞろい?
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『はぁっ……っけほっけほっ!』



苦しそうに、彼女は俺の背中で咳をした。
背中で感じる体温は、熱くて。



「赤司っち、起こさないように運んでくださいっスよ!」

「黄瀬君、五月蠅いです」

「喋るな。お前が起こしてしまうのだよ」



何故かついてきた、黒子・黄瀬・緑間。



俺を探している間に暗くなってしまった(らしい)
ので青峰は桃井を送って、
紫原はお菓子を買いに…と言って帰った。



なので三人も帰ると思ったのだが。



「帰っても親がいないんスか?藍里ちゃん家」

「なら、皆で行きましょう」

「お前達だけだと不安が残るのだよ」



とかいって着いてきた。



明日は珍しく部活動はない休日。
きちんと休みをとるべきだ。



いくらいっても、奴等は聞かなかった。
練習、四倍だな。



俺は心の中でそう唱えた。



『あか…し、くん……?』


「ほら、お前の家だ。鍵は?」


『ごめ…な…ぃ…あり…っけほっけほっ!』



短く、ため息をつく。



「いいから鍵はどこだ」


『鞄…小さぃ…ぽけっと…』


「えっと、これっスね」



ゴソゴソとしていた黄瀬が、
キラリと何か取り出す。
受け取り、差し込む。



がちゃり、鈍い音がした。
扉は音をたてず開く。



真っ暗な玄関。
明かりをつけると、いつも通り無機質な空間だった。



「キレイな玄関っスね」


「でも、なんだか…」



黒子が言葉を飲み込む。
その通り、



何かいたようだけれど、
何もなかったような、



そこは生活感が欠落していた。



『みんな、ごめ…ん…ね』



橙時が眠りに落ちる。



黒子達は、
しばらくその場で立ち尽くしていた。





ーキセキの世代は、変人ぞろい?ー


(君の家、その空間は)





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