砂糖菓子の恋人たち
□赤い紅い林檎みたいな
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「風邪薬見あたらないっスね〜」
「こっちにもありません」
「空箱があったのだよ」
緑間が持っている箱からは、
振っても何一つ音はならなかった。
「買ってきた方がいいっスね」
「みたいです、食料らしき物もないです」
「一体どんな生活をしているのだよ」
整理整頓された部屋。
しかし、人の生活の気配がない。
「両親は、放任主義らしい」
コイツ等に言っても仕方ないはずなのに、
気がついたら口をついていた。
当時は二階の私室で寝ているが、
アイツからオレに話したことだから問題ないだろう。
「薬、ソッコーで買ってくるっス!」
「僕も行きます/俺も行くのだよ」
突然立ち上がったアイツ等は、
ばたばたと外にでた。
「慌ただしいな」
見つけた冷えぴたを持ったまま、
短くため息をついた。
階段を上り、
彼女の部屋の戸を叩く。
当然返事はない。
「入るぞ」
かけられた布団が、
彼女の動きにあわせて動く。
「貼るぞ」
急に感じた冷たさに、
彼女の体はびくついた。
ー赤い紅い林檎みたいなー
(真っ赤な君と、揺れる髪)
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