砂糖菓子の恋人たち

□負けないって決めた
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『青峰くん』



青空光る屋上の下に、彼はいた。
かったるそうにしながら。



「あー、藍里か」



そういうと、上体だけは起こしてくれる。
めんどくさがるけど、いい人だってことは知ってる。



『青峰くんはここでなにしてるの?』


「決まってんだろ?……部活サボってんだよ」


『どうして、って聞いても平気?』



少し彼は罰が悪そうにした。
だけれどいつもの調子に戻って、



「練習したら、強くなっちまうだろ?」


『そう、だね』



彼が嘘をいってないことはすぐわかった。
それが彼の中ででた答えなのだと。



強くなりたくない。



その願いは、できない人からにしたら羨ましくて
彼にとっては苦しめる種なのだろう。



『じゃあ、青峰くん』



私は、泣きそうになったのをこらえた。
何で簡単に、泣きそうになんかなっているのよ。
情けない。



『あなたの大切なものってなに?』


「堀北マイちゃんの写真集」



もはやどや顔ありでも文句はない。
即答した彼が、なんだかおかしくて。
……私は笑っていた。



「笑えるじゃねーか」


『…え』


「辛気くせぇ顔ばっかしてるとブスになっぞ」


『えっヒド!』



彼なりの気遣いなんだ。
なんだか可愛らしい。
そして、やっぱり君は優しいよ。





ー負けないって決めたー


(青峰くん、ありがとう)





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