隔離部屋
□写しを享受する
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山姥切がやってきてからずいぶんと時間がたった。山姥切も強くなった。たとえ相手が大太刀であろうと一撃で屠れるくらいには。様々な名刀、名剣が山姥切の後に仲間に加わった。それでもここの審神者は山姥切が手に入ってから一度も山姥切を一軍から外そうとはしなかった。
「なあ、……聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「ん? 何かな?」
「____ って、誰だ?」
「……ああ、聞こえていたのか」
「ずっと、気になってたんだ」
あの時は審神者と初めて会ったから気がつかなかったが、この審神者は普段あんな表情をする人じゃなかった。出会ってから結構な時間がたつが、あんな表情を見たのはあれが最初で最後だった。だから気になっていた。そこに山姥切をずっと使用していた理由も隠されている気がしたから
「____ っていうのは死んだ私の恋人の名前だよ」
「俺に……似ているのか?」
「ああ、似てるよ。……ほんとに、よく似てる」
山姥切の髪を見て、目を見つめ、噛みしめるように言う。初めて見た時と同じ顔をしていた。