隔離部屋
□自己中ここに極まれり
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「ちくしょう、ちくしょぉおお!」
「うーわ、ここまで聞こえてくるよ。女子高生が出すような声じゃないよね」
ざくざくと赤黒い商店街を歩いている男が語りかける。
「そう思わない?」
「それよりこの体勢どうにかして。腹に体重かかって吐きそう」
「あらま、思ったより図太いね。まあいいか。逃げようともしないし」
小脇に抱えられている名前の体勢が変わる。腕に座らせるような、所謂子供抱きをされていた。ごす、と名前の頭がそれの体にぶつかる
「固い……」
「それはもうどうしようもないね。僕が背負うわけにもいかないし」
「安定性で言えばこっちの方がありそうだから、それは遠慮するわ」
「うっわ、なっまいきー」
誘拐犯と被害者にしては、なんとも緊張感のない会話だった