隔離部屋
□写しを享受する
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ご注意ください!
これはハッピーエンドな話ではありません!
死んだ恋人を忘れられない審神者の弱みに山姥切がつけこんだ話です
誰も最終的に幸せになってない気がする
拭いきれないバッドエンド臭
それでも構わない方のみお進みください
「ただいまー。主、新しい仲間拾ってきたよ」
「ああ、加州、おかえり。後ろの子がそうなのかい?」
加州が頷く。加州の後ろにはベッドのシーツを被ったような白い塊があった。
「ほらぁ、そんな汚い布なんてとっちゃって早く主に挨拶しなよ!」
加州がその刀のかぶっている布を引っ張る。持ち方がちょっと嫌そうにつまむようにしているのは加州の美的感覚にそぐわないからだろう。
元は白い布だろうが所々土で汚れていたせいでなんだか薄汚れた印象を見る人に与えるような布だった。
加州が引っ張った所為で布で隠れていた顔が審神者の目に入った。
「やめろ、引っ張るな」
ひゅっ、と審神者の喉がなる。その視線は加州に布を引っぺがされそうになっている刀剣男子ただ一人に注がれていた。
「山姥切国広だ。……なんだその目は写しだということが、」
ぽつり、と審神者の口が何かの名前を呼ぶ。沢山ある刀剣の名前を言ったのかと思ったが、そんな名前の刀剣は存在していない。何の名前かと問いただす前に審神者の目が山姥切を映した。
「あ、ああ。ごめん、ぼーっとしてた。歓迎するよ、山姥切」
さっきの顔を隠すように審神者はへらりと笑った。