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□your voice…(神谷)
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私には、足りないものがある。


それは…声。


私は幼い頃…目の前で家族を失った。


私の家族は、父親、母親、姉、私の4人家族だった。


私の両親は病院の先生で、そこそこ裕福な家系に私はいた。


そして、ある冬の寒い日…


悲劇は起きた…


うちの病院にある女性が入院していた。


その女性には、最愛の彼氏がいた。


父親は、少しでも希望を持たせる為に、病気は治る。と言っていた。


だけど…彼女は死んだ。


助かると聞いていた彼氏は私の両親に、言っていた事と違う…と言ってきた。


父親はただ申し訳ありませんでした…と、頭を下げていた。


ものすごく、辛そうな声で…


その彼氏は怒り狂い、夜9時頃…私の家に侵入した。

そして、リビングで談笑していた私達一家を襲った…


私は目の前で起きている事が分からず


『ママ…?パパ…?ねぇね…?ねぇ…、なんでねんねしてるの…?』


そう言って泣き始めた。


犯人なりの情けなのか、まだ幼い私を殺さずに逃亡。


家族を触ると、さっきまで暖かかった頬が冷たかった…


幼い私でも分かった


…もう、パパもママもねぇねもいない…


急に怖くなり、涙が出た。


だけど、いくら泣いても…声が出なかった。


そして、家族がいない私は遠く離れたおばあちゃんの家に行った。

医者はトラウマのせいだろう、と言っていた。


周りは私を同情した…。


それが悲しかった…。


だけど、1人だけ違った。


おばあちゃん家のお隣さんに住む、私より12コ上の男の子…


神谷浩史さん…


彼は


「お前、バカじゃねぇの?」


「同情されたくねぇなら、そんな悲しみに溢れた顔すんなよ」


それが浩史さんとの出会いだった…
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