短いお話(かいたもの

□想いのシズク
1ページ/1ページ

ジェラエル
---------------------------------------




(本当は

     (誰よりも

  (キミを

愛してる





心の中ではいくらでも言えた。

だけど俺は彼女を愛してはいけない、想いを伝えてはいけない。

ただ、

幸せになってくれと・・・・・。






--------------------------------------------------------------------------------

「エルザ・・・」
「なんだ?ジェラ―ル」
「!!」

一人夜の公園で居たはず・・・だ・・・。
いや、まさかよりによって・・・・・

「しかし、さすがだな。私が来ていたことに気付いていたなんて」

あっそうだ!彼女はとても鈍感で・・・・・・嬉しいような、悲しいような・・・・。
と、とりあえず話を合わせるか・・・。


「・・・エルザはこの空を見てどう思う?」

「空?」

エルザが俺の隣に座る。
その時、風がびゅうっと吹いた。
その風に乗せられてスカーレット色の髪が俺の手元に・・・・・

「・・・?・・ジェラ―ル・・・??」
「えっ・・・」

思わず両手でつかんだその髪。
まるで、あの時と同じ体勢で・・・・・

「・・・綺麗だな・・・ずっと変わらず・・」
「ん?空がか?」
「いや、エルザの髪が・・」
「っ///は、話が変わってるぞっっ」

頬をうっすらと染め、こちらを睨んでくる・・・てれ隠しも変わらない。
俺も・・そうだといいが・・・・・。
持っていた髪をゆっくり離す。その時空から一滴の雫が・・。

「うわっ急にっ・・」
雫はだんだん仲間と集まり沢山の攻撃を仕掛けてくる。

「ほらっ、ジェラ―ル!早く行くぞっ!!」
「あ、ああ」

差し出された手、本当にとっていいのか悩んでいるとギュッと掴まれて、そのまま・・・。









俺が不幸にした皆さん本当にすみません。
本当はいけないこと分かってるんです。
分かってるけど、今はこの手を解きたくありません。
今、『ミストガン』としてエルザのそばに居るのに、エルザに名前を呼ばれる度、俺はこんな調子で。

前に見えるスカーレットと上空の曇り空を交互に見つめてため息をつく。

頬を流れる何かを気付かれないように、俺の気持ちが届かないように、けれどもしっかりと自分の想い人を見つめて、

ゆっくりと温かい彼女の手を握り返した。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ