短いお話(かいたもの

□心配で倒れそう!!
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グレエル
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今日もまたエルザがS級の仕事へ行く。
そんなエルザの後ろ姿をみてグレイは静かにため息をついた。

「(あぁ!もう!心配だ!!!)」





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もうすぐ17時、そろそろ各家庭からはおいしそうな臭いがしてきた。

ギルドの面々も家へ帰るか夕飯をギルドで食べるか悩む時間帯だ。

そんな中グレイが腕を組んでカウンター前に座っていた。

「なにやってるのグレイ。何か悩み事?」
「ミラちゃん・・・」

グレイに話しかけたのは看板娘のミラ。
両手に今から運ぶのであろう料理がのっていた。

「ちょっとな・・・エルザ今日もS級行ったろ?」
「えぇ・・・・・フフッ・・そういう事なのね」
グレイがえっ?と声をもらしたときにはミラの両手にあった料理が他の従業員にわたっていた。
「グレイはエルザが心配なのね?」
「いや、別に、そういうわけじゃ・・・」
顔に書いてるわよと言って笑うミラは一つの紙を持ちながらグレイの隣に座る。
「それ・・・」
「エルザが今朝向かったS級の依頼書なんだけど・・・」
グレイの前に置かれたプリントには確かにS級であろう依頼。
報酬もそれなりに高く、やっぱスゲーと思わせるものだ。
「これがどうしたんだ?」
「よく見て・・・ホラッ」
そう言ってミラが指さしたところにはメッセージが載っていた。

『この依頼を受けてくれる魔導師様へ。現地にてお待ちしております。大切なものをともに守りましょう。もちろん、あなたも含めてです。』

「はっ?」
「実はこれね・・・」

ミラが言うにはこういうことだ。
この依頼は多数のギルドが集まりある草を取りに行くものだった。
その草には伝説があり、そばに置いておくと大切なものをなくさずに済むというものだ。
報酬にはその草+お金だった。
多数のギルドが集まるのにも理由があり、決して一人にはならず全員無事に帰還するのが目的だそうだ。
もちろん、この依頼書がS級なのもその草があるところが危険な場所だからなのだが・・・。

『大切なもの』
先ほどは心配をしていたグレイだったがその説明にエルザの大切なものはなんなのか固まってしまう。
説明が終わって数分、口を閉ざしたままのグレイにミラが言葉をかけた。

「エルザはねグレイに信じてほしいんじゃないかしら?最近ねS級へ行くことが多いエルザだけどねほとんどこんな報酬の物ばかりやってるのよ?・・・たぶんグレイや私たちを失いたくないって思ってるからだと思うの。一番そばに居るグレイがエルザを信じ、支えてあげないと・・・」
最後のひと押しにねっ?・・・と語りかけるように言う。
いきなり席を立ったグレイはサンキュっミラちゃん!といってギルドを飛び出した。

「おぉ〜いミラちゃんビールたのむわぁ」
「はぁーい❤」








船乗り場の近くに暗闇に映える紅い髪。
いつもと違うのは鎧を着ずに普通の服だという事だけ。
「エルザぁ―――――!!!!」
「ん、グレイ?」
ギルドから走ってきたグレイは息を切らしながらエルザの前で足をとめた。
「どうしたんだ?こんな時間に」
よく見ると傷だらけのエルザ。そんな傷を見ながら一気に顔を見つめる。
「ほ、本当にどうしたんだ!?」
「・・・いいか、よく聞けよ?」
呼吸を整え口を開く。
その間もグレイの目はエルザをとらえて離さず・・・。
「俺、信じるからっエルザも俺たちがいなくならない事信じ、危ない事控えてくれないか?」
「!!・・その話、どこで・・・」
ミラの言っていた事は正しかったようでグレイを見ていた目を地面に向けた。
「頼むから、俺ぜってぇどこにもいかねぇから!!ずっとエルザのそばに居るから!!「っっ・・・///」
エルザの顔が上がると逃がさないように両頬を手で覆う。
「好きなんだ、エルザが・・大切なんだ・・・」
夜だと言うのに二人の頬は凄く分かりやすい色をしていて、
エルザがコクンっとうなずいたのもすぐに分かった。
この時二人ともグレイがさりげなく『告白』している事に気付いていないのだが、この時近くに居た漁師によりグレイが告白したという噂が町中に広まったそうだ。


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オマケ♪

「そういえば・・・信じる・・・とはどういうことだ?グレイは私の何かを信じていなかったのか?」
「えっあ、・・いや・・」
主語がなかったためか上手く伝わらなかったグレイの気持ち。
二人が本当に心を通わせるのはたぶんここから先の話。

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