キリリク・リクエスト書いたもの
□甘い匂いに誘われて
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ジェラエル
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自動ドアの開く音。
その後にはとても甘い香りが押し寄せてくる。
白い生クリームとイチゴや、パイ生地のような器の上にのせられたフルーツ。
持ち帰ることも、その場で食べることも可能のようだ。
何を食べ、何を持ち帰るか悩む彼女の隣で、一人の男が優しそうな瞳で笑う。
さて、一番甘い匂いを漂わせているのは、ケーキか?それとも・・・・・
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「いつもすまないな」
「いや、俺だって毎月楽しみなんだぞ?」
店の奥にある窓側の席。
そこに居るのは妖精女王と名の高いエルザ。
そして、本来ならばここに居てもいいのか?と突っ込みたくなるような脱獄犯であるジェラ―ル。
毎月、決まった日にケーキ屋に行き一緒にケーキを食べる。それは、なかなか会う事の出来ない二人にとって、とても幸せなひととき。
他愛もない話をしながらお互いの状況を伝えあう。
まぁ、大体話すことと言えばお互いのギルドの事なのだけれど。
「ウルティア達は元気か?」
「あぁ、エルザに宜しく伝えてくれと」
「そうか・・」
喋りながらも黙々と食べ続けるエルザの頬には、いずれつくであろうとジェラ―ルが考えていた生クリームが少し。
気付く気配のないエルザにジェラ―ルがストップと告げる。
「ったく、ついてるぞ?」
「ん?」
フォークを右手に持ちながら、首をかしげるエルザ。
その時、ジェラ―ルの手がエルザの頬に触れた。
「ほら、とれた」
「っっ!!・・・す、すまないな・・」
こういうところがおちゃめなエルザ。
どこか、天然な所がしっかり者という枠からエルザをはずす。
前までは一緒にケーキ屋へ行くなど考えることもできなかった二人。
本当は、ジェラ―ルが近くに居ると気付いていそうな評議員。
それでも、月に一度会う事が出来るのは神様からのご褒美なのだろうか?
苦しんだ分だけの幸せを。
もしかしたら、普通の事なのかもしれない。
けれど、二人にとってそれは、とても幸せな事で、生きている事、仲間がいる事、人を幸せにできる事、何よりお互いの笑顔を見れる事、今はそれだけで十分なのだと思わせるような、そんな笑みをジェラ―ルはつくった。
「どうかしたのか?」
「いや、・・・幸せだな・・・と・」
「・・・そうだな・・・」
今はまだこれ以上をのぞめない、望んではいけない。言い聞かせるようにエルザは瞳を細める。
太陽の下、月の光の下、大地の上、木々の中、お互いが生きている事さえ分かればそれでいい。
二人を包むものは、温かく、そして強い、意志だった。
ケーキと一緒に頼んだコーヒー。
映る自分たちの表情を見てジェラ―ルが吹き出す。
「クッ・・ククッ・・フははっっ!!」
「な、何がおかしいんだ!!」
まだ、顔に何か付いているのか?とごしごし頬をこするエルザ。
そんなエルザを見てジェラ―ルはもう一度笑い出した。
「違うんだ、そうじゃなくてな?」
「じゃあ、何だと言うんだ」
「いや、俺たち面白い表情してるなぁ〜と思って」
ほら、とジェラ―ルがコーヒーを指さす。
そこに映る自分の表情に、エルザは頬を染めた。
「うむ、・・・面白いな」
「だろ?」
いつの間にかお皿の上にあった五種類ものケーキはあとかたもなく消えており、残りの時間を告げているコーヒーに手を伸ばすふたりだった――――――--
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はな様!キリリクありがとうございました♡
ほのぼの?というより甘々、というよりシリアスっぽい、というよりほのぼの、というような感じになってしまいました・・・・NO・・・
こんな凡人ですがどうぞこれからも見てやって下さい!!