リヴァミカ小説
□角砂糖のふたり。
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安心して、自分を預けられる人。
寄り添って、温かい気持ちになれる人。
寂しさを埋めあうように
嬉しさを分け合うように
切なく、甘く、心が躍る。
私にとってのあの人は、そんな存在。
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角砂糖のふたり。
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「ねぇ、リヴァイ。」
二人きりで部屋にいるとき、たとえそれが勤務中であったとしても、ミカサは大人びた甘さを含む柔らかい声で俺のことを呼ぶ。
「なんだ、勤務中だが。」
本当は口元が緩んでしまうくらいくすぐったくて嬉しいのに、上司という立場上、ポーカーフェイスを保って何でもないようなふりをした。
「ねぇ……。」
自分より少し高い位置から落とされた言葉とともに、背後から少しの重みがかかる。
無造作に押付けられたミカサの胸の感触に、この歳にもなってどきどきしてしまう。
「ミカサ、いい加減にしないか。」
自分を落ち着かせる意味も込めて、ふぅ・とひとつ、溜め息をはき、くるり・と後ろを振り返る。
少しだけ、目線をあげて。
びっくりしたミカサは1度俺から離れたけれど、正面に向き直った俺と目が合うと、キラキラと瞳を潤ませた。
「仕事、終わったらくっつかせててやるから。」
俺だって・と内心思いつつ、途端にしゅん・とするミカサを見つめてもう1度ため息をつく。
「…今がいい。」
拗ねたように言うその様は、まるで15歳とは思えないほどの幼さだ。
だけどミカサが俺の前でしかこんな風に甘えな
いことを知っているから、俺はなんだか懐かしい切なさに襲われて甘やかさずにはいられなくなる。
ああ、それだから困るのだ。
カツカツとソファまで歩を進め、座る。
「ほら。」
手を伸ばすと、ミカサはうんと嬉しそうに笑って。
「!!」
俺に、触れるだけのキスをした。
熱く、視線が絡み合う。
ミカサが俺の上にまたがってソファに膝を立てれば、ぎっ・とソファがきしんで音がなる。
もう1度。
互いを求めあうような、貪るような、そんなキス。
甘くとろけそうなそれに思考回路は麻痺して、身体が、頭が熱を帯びる。
「ん・・・はぁ・・。」
すーっと銀色の甘い糸を引いて、名残惜しそうに唇と唇が離れた。
心が温かい気持ちで満たされてゆく。
ミカサが安堵した顔で、抱きつくように俺にもたれる。
とんとん・とリズムよくその背中を撫でれば、しばらくしてみかさはうつらうつらとし始めた。
「ねぇ…リヴァイ…、」
「どうした、ミカサ。」
「ず…っと……。」
「ミカサ?」
「……。」
「寝たか。」
幸せそうに眠るミカサの瞼にキスをして、耳元に囁く。
「俺はずっとお前のそばにいる。」
――それは、ある昼下がりの午後のこと。――
End→あとがき