リヴァミカ小説

□年齢差、約15歳の壁
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「抱いて」

ミカサが一言、ぽつりと零した言葉に、目の前に立っていたリヴァイが目を見張った。

ミカサとて、誰でもよかったわけではない。
でも、ただ寂しくて、寂しさを紛らわせたくて、
誰かに触れたくて
一瞬でいいから満たしてほしくて。

誰でもよかったわけではないのだ。
けれどそこに、彼がいたから。

同期でミカサのことをよく知っているわけでもなければ、かといって全く知らない他人ではなく、信頼のおける、いつも不機嫌な顔をしているけれど、本当はとても優しい人。




「お前、正気か?」





「お願い、。」




ガラガラと音を立てて崩れ落ちてゆく現実を抱えて、ミカサはもう耐えられないと思った。
現実は、世界は残酷だと、変わらずに思う。
もしかしたら自分だけこんな残酷な仕打ちを受けているのではないかというような気にさえなってくる。

だって、世界はエレンまで、私から奪っていってしまったのだもの。

リヴァイの優しさを自己満足に利用しようとする自分に、最低だ・と心の中で悪態をつきながらなお、その行為を求めてしまう。


泣き出しそうなミカサの表情に流されて、リヴァイはそっと、彼女の背中に手をまわす。



はぁ・と、安堵したような溜息がミカサから漏れる。




お互いが自然に座り込んで、ぎゅ・っと互いに腕をからめる。




「エレンとはもう、こうすることもできなくなってしまった…」





幼さの残る切なげな声でつぶやいたミカサの背中を、まるで子どもをあやすように撫でながら、リヴァイは不謹慎にもその様を綺麗だ・と思った。





「もっと、抱いて。」





ミカサの言葉に今度はリヴァイが少し首をひねって、




「…そうか」



少女の言う「抱く」の本質を理解する。






俺はエレンの代わりではないけれど、今だけは。






そんなことを思って、リヴァイはミカサをそっと、ぎゅうっと、抱きしめた。






End→あとがき














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