リンラン小説
□皇子
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「若の言うことに逆らってはいかんぞ、良いな、ランファン。」
「はい。」
もう何年前のことだろう?
一番初めにフーに教わったこと。
それから私は、若であるリン様に忠義を誓った。
若が「待て」と言えば待つし
「行け」と言えば行く。
若に危険が迫ったなら、自分が死んででもお護りする・と。
それが何故、若が命を懸けるようなことになってしまったのか。
答えは簡単だった。
私が未熟だから。
私が弱いから。
でも、私の瞳が碧を増すと、若の瞳はにっこりと優しさを増し、
「ランファン」
と、私の名を呼ぶ。
その度に心臓が跳ねる理由に目を瞑って。
気づかないフリ。
貴方と私は皇子と臣下。
私は…皇子を護る者。
それ以上でも、以下でもない。
気づきたくない。
嫌だ、嫌だ…。
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