リンラン小説
□永遠の愛を
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「わか」
主の腕に抱かれて横たわる傷だらけの少女が、主を呼ぶ。
少女が何か言おうとする度、その主は『喋るな。傷に響く。』と言って少女の言葉を制止する。
しかし、少女はそれに抗って。
何度も何度も「わか」と、主に呼びかける。
その声は、徐々に弱くなってゆく。
縋るようなその細い声に、主は己の未熟さを悔いることしか出来ない。
空には月が昇っている。
その光が照らすのは、少女の白い肌。
その上にはしる、赤いキズ。
少女を守るための防具たちは見る影もなく、その下の布さえも切り裂かれて。
もう少しだから。
もうすぐ、フーが薬を持ってくるから。
それまでどうかー…。
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