リンラン小説

□ヒメハジメ
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5・4・3・2・1・0―!!



「あけましておめでとう、ランファン。」


「おめでとうございます、若。」


外から新年を知らせる鐘が、いくつも重なって耳に届く。

目の前にいる自分の臣下とは、年が明ける随分前から酒を酌み交わしているというのに、彼女は少しも酔った様子を見せない。


彼女を酔わせて何かしようと思ったわけではないが、彼女は酔ったらどのようにハメを外すのか。

そういうちょっとした好奇心で彼女を酒に誘ったのだった。

無論、彼女がその誘いを断るはずもなく。


でもまさか、こんなに酒に強いとは。


彼女より先に、自分がハメを外してしまいそうだ。



「若、あの、失礼ですが―…。」


「ん?なんだ?」


おずおずと、彼女が口を開いた。


「随分ながくこうして飲んでおりますし、1度休まれては・と。」



「…ああ。そうさせてもらおうかな。」


顔色一つ変わっていないランファンに促され、俺は酒を飲む手を休める。


「あの、若、床を用意してあります。」


『休まれては』とは、酒を飲む手を休めるのではなく、体を休める・という意味だったらしい。

俺の体をいたわっての言葉だったのだろう。


「明日はアメストリスとの軍事条約締結式も行われますから。」


続けて彼女が少し控えめに告げる。

こんな時に仕事の話を持ち出していいものか迷ったのかもしれない。
が、確かに明日の式典は大切な式だ。

「ありがとう。床に入るよ。」


「…ランファン。」

もぞもぞと床に入ってから、カチャカチャと酒を片付ける彼女においで・と手招きをする。



「?なんでしょう?」


「一緒に、寝てくれない?」



そういうと彼女は驚いた顔をしたけれど、

『本当は明日の式が不安なんだ』というと遠慮がちに布団に入ってくれる。

いくら主とはいえ、男の寝床に入るなんて、ランファンも無防備だ。

彼女と正面で向き合う。

有無を言わさず、深い、口づけをする。

抵抗しない身体と、うるんだ瞳が彼女の想いを伝えてくれる。


俺も、ランファンも、本当はすごく酔っていたのかな。

2人してハメを外してしまいそうだ・なんて思いながら首筋に、胸元に、甘いしるしを刻む。


そのたびにランファンが、甘く啼く。



愛しくて


愛しくて


愛しくて







新年早々、ヒメハジメ。


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