グリラン小説
□強欲
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ほしい。
無性に、こいつが欲しいのだ。
「若を返せ…!」
今目の前にいる『こいつ』は、俺を見ていない。
俺の中のアイツを見ていやがる。
手の届かないものほど、欲しくなる。
「俺は、お前が欲しい」
その、『欲しい』の意味を悟ったのか、彼女は一歩、身を引いて。
「ふざけるなっ―…!!!」
ふざけてる?んなわけねーだろうが。
「俺のもんになるんだったら、この入れもの、返してやってもいいぜ?」
「っ…!!!」
【やめろ、グリード!!ランファンは俺の大切な―…】
俺の中で、アイツが叫びをあげる。
口惜しくもその叫びが彼女に届くことはなく。
「…本当に、若を返してくれるのだな…?」
【ダメだ!ランファン!!!】
「あぁ。この体は、きちんと返す。でも、お前のは…返さない。」
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