グリラン小説

□冬空・恋模様
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冬の空に

恋が

甘く、轟く




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冬空・恋模様

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暖かいお部屋で

暖かなミルクを飲んで



体はぽかぽか。
こんなに温もっているのに、どうして。



ひとりぼっちのこの部屋は
空っぽの世界は

淋しくて淋しくて仕方ない。





暖かいお部屋も、暖かなミルクもいらない。

裸足のまま、
このカゴの中ような世界をとびだす。


リボンやレースのついた豪華な服も
キラキラ光る宝石も。



みんな、みんな、いらない。




手や足が、だんだん冷たくなっていくけど、そんなのどうたって構わない。

いっそ、このつもり続ける雪に埋もれて、沈んで、消えてしまおうか。


雪の上に倒れるとそこはとてつもなく冷たい。


「お前、何やってんだ?」


そういって、空に広がる星を遮るように、黒いかげが目の前に現れた。


「…グリード、先、生…?」


その人は呆れたように、
それでも優しく、
私に手を差し出した。



「家、くるか?」



そういう優しい声と
確りと私を抱く大きな腕に
じんわり・淋しさが溶けてゆく。



頬を暖かな煌めきが伝う。

雪のはずなのに、どうしてか、あたたかい。



私は

この幸せがもらえるのなら

他にはなにもいらない。


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冬空・恋模様end→あとがき












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