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□落ちたのは…
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白いキレイな毛布に、息が上がっている冴木さん…
どうしてこうなってしまったのでしょうか。
これの始まりは何だっただろうか…
…そうあれは、食堂に集まる途中の話だった。
「キャッ」
足を滑らせたらしい二宮さんが残り4.5段くらいから階段から落ちる。まあ、そこから落ちても大した怪我にはならないだろうと見立てた。まあ…そんなことにはならなかったのだけども…
「っと…大丈夫か?」
「ええ、あ…ありがとうタクト」
近くにいた藍川さんが、二宮さんを支えたのである。
まあ、そこまでは普通だった。
普通だったのだ。
何を思ったのか、そのまま二宮さんを、所轄お姫様だっこしたのである。
これには、周りの人もイロイロいっていた。当の二宮さんも顔を赤くしていたけど、満更でもないように見えたのは気のせいでは無いだろうか…
後から聞いたら、もしかしたら足を挫いているかもしれないからとか言っていたけど、この行動が後にこんな騒ぎになるとは誰も思わなかっただろう。勿論私もだ。
「黒岩さん、おねだいだ」
「何度も言いましたよね?嫌です。」
今私は、冴木さんに追い詰められてます。
「おねだいだ」
「嫌です」
これだけは譲ってはならない。譲った場合、下手したら命を落とす可能性も無くはないのだ。
そう、冴木さんにお姫様だっこをされるなんて落とされる事しか思い浮かべられない。
「大体なんで私なんですか!?」
そう、何故か…冴木さんは私を選んだのだ…
「それは…」
「それはなんですか?」
…見た目女の方に見えなくもありませんが、むしろ美味しいのですが、貴方は男の方ですよね、はっきりして頂けませんか?
など言えず。でもなぜお姫様だっこをしたいかは想像できるのですがね
そう…問題のあれから面白がった藤崎さんが高崎さんにねだってお姫様だっこをしてもらったのだ。それに便乗した英さんもレミ君と高村君にしてもらってました。
それから、織沢さんもその後高崎さんにして貰ったそうです。なんでも事故ととかで…
これでしてないのは、狩野さんと柳本さんと冴木さんそして私…
柳本さんも、鍛え上げられたその腕で、軽々とできてしまいそうです。でも、彼女さんにばれると怖いとか云々で避けてましたね
狩野さんも、何だかんだ出来そうな感じがします。
そういった背景があるからでしょうか…でも何で私なんでしょうね
「話を変えるようで悪いのだが…何であやちゃ…黒岩さんは僕にされるのは、嫌なのかね?」
睨んだら、言い直ししました。
「人に触られるのは好みませんし…それに落とされそうで怖いです」
そうかとか言ったその顔は心配になるほど笑顔で…
思わず逃げようとしたのですが…
ドンッ
ッツ!?
とうとう逃げ場も無くなって…意外にも強く握れた腕は振りほどけずに仕方なく引っ張られるしかなくなりました。