キミイロニソマリ【完】
□ウィンターカップ
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「…あれ。」
翌朝、私はいつも通りの時間に目覚めた。
「そうだ、征くん…。」
寝てしまって申し訳ないと思いつつ周りを見渡すが、人の気配はない。
玄関に行くと靴がなかったので、彼は帰ったのだろう。
携帯を開くと、メールが1件。
『無理はしないように。』
不器用なそれに笑みがこぼれ、お礼の返事をしてから学校に行く準備を始めた。
熱はすっかり下がったようで、征くんのおかげだなあ、と昨日のことを思い出す。
「あ、そういえば。」
昔のこと、全部話したんだった。
最後の方はあまり覚えていない。
でも、なんだかすっきりしたような。
「誰かに聞いてほしかったのかも、なんて。」
…誰もいないと独り言が癖になって困る。