もう一度君に
□Chapter3
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食事に行った日から1ヶ月、彼からはぱったりと連絡が来なくなった。
「(…ほんと、なんなの)」
振り回されてばかりで、悔しい。
これでやっとまた彼のいない生活に戻れるんだ、清々するじゃない。
携帯を確認する回数が増えたのは、きっと気のせい。
「七瀬さん!」
「は、はい!」
いきなり名前を呼ばれ驚いて振り向くと、その声の主はマネージャーであることが分かった。
「ま、マネージャー。驚かさないで下さいよ」
「あっスミマセン…って、そうじゃなくて!あの、CMのオファーが来ました!」
「え!?」
「化粧品のCMで、黄瀬涼太さんとご一緒だそうです!」
「え!?」
「もちろん受けますよね!?」
「は、はい」
「じゃあ今から返事の電話してきます!」
「……はぁー」
嵐のように去って行ったマネージャーの後ろ姿を見ながら溜め息がこぼれた。
嬉しいけど、すごく嬉しいけど、なんか複雑だ…
って何を言ってるんだ私は。
私情を挟むだなんて、有り得ない。
「…よし、頑張ろう」
頬を叩いて気を引き締める。
初めてのCM撮影、何やら一騒ぎ起きそうな予感です。