【初恋】


オイラはデイダラ。 芸術家だ。

芸術は一瞬の美。


とある組織――暁に入るまではこれ以外何がある。

そう言う風に思っていた。


しかし、オイラが暁に入ってからオイラと芸術観が違う芸術家が居た。


赤砂のサソリ――。


オイラもその名は知っている。

が、それ以上のことは詳しくは知らなかった。


この赤砂のサソリはオイラのツーマンセルのペアだ。

ペアになった時、リーダーに赤砂のサソリも同じ芸術家だと言うことを聞かされていた。


どんな奴なのだろう。やっぱり同じ一瞬を求める芸術家か?と思ったが…



「一瞬の美だ? ハッ 笑わせるな 芸術は永久の美だ」

「………」



なんなんだ… コイツ…。



「すぐに消えてしまうものになんの意味があるんだ」

「………」

「朽ちることのない永久の美にこそ価値があるんだ。一瞬のどこに価値がある。」

「………」

「それに…「お前なんか嫌いだあ!!」」



ものすごくムカつく。


―――――


「ほんっとに! なんなんだよ! 同じ芸術家だから分かり合えると思ったのによ!」



オイラは与えられた部屋の備え付けられたベッドの上で枕を殴っていた。

枕を放り投げて、粘土を取り出して作品を作った。



「…………………」



いつの間にかオイラは赤砂のサソリを作っていた。

しかもオイラをバカにしたような目つきで。



「なんなんだよ! お前は! オイラをバカにした目で見るんじゃねェ!!」



オイラは立ち上がり目の前に出来たずんぐりとした目つきの悪い赤砂のサソリの手の平サイズに向かって右手の人指し指を出して怒鳴った。

自分が作ったくせに文句を言う自分に言うのもどうかと思うが、今のオイラではそんなことは頭にない。



「何が永久だ!一瞬の美の方が良いに決まってる!永久なんて永久なんて!」



オイラが永久なんて…の後に続く言葉を発しようとした時…



?「永久がなんだって? デイダラ」



若い男の声がすぐ前から聞こえた。

オイラは驚きすぐ前に立つ男を見下ろした。


ドキッ…


オイラは一目で恋に落ちた。

しかも初恋。

名前の通り初めての恋だっていうのに何故かオイラは目の前に居る人が好きなんだと分かった。


オイラが口を魚みたいにぱくぱくして何も言えないでいると若い男が手の平に乗せていた赤砂のサソリに気がつき



?「これ…お前が作ったのか?」

「え?う、うん…」

?「認めたくねェが… 似てるな」

「だ、誰に?」

?「ヒルコ」



………………。


若い男の口から出た言葉にオイラの脳は停止した。


ヒル…コ…?


しばらくの沈黙が続き、オイラの口から出た言葉は



「…ハイ?」



と間の抜けた声で言った。

すると若い男は明らかにバカにしたような顔で



?「お前、ほんとバカだな。初めて見た時から思ってたけどよ」



はっきりバカと言った。

オイラはイラッときて



「て、てゆーかアンタ誰だよ?!うん!!」



若い男を指差した。


この後、若い男の口から発せられる言葉に本日2度目の間の抜けた声を出すことを知る由もない。


―――――


「ちょ、ちょっと待って あのずんぐりとしたのは傀儡で…ヒルコって言ってアンタが本物の赤砂のサソリ…?」

「そうだ」

「で、でも赤砂のサソリってもう30代半ばって聞いてたけど…アンタまだ…」



どう見ても目の前に居る赤砂のサソリはとても30代半ばには見えない。

まだ10代半ばと言ったような顔つきだ。




そう言うのを察したかのように赤砂のサソリは釘を刺した。



「言っておくが俺自身も傀儡だ。15歳…里を抜けた時に傀儡になった。だから15の時のまんまだ。」

「へぇ…」



オイラはそれ以外何も言えなかった。

てか、他に言葉思い浮かばない。


赤砂のサソリは「そう言えば…」そう言って近くにあった椅子を持って来て座り



「明日の任務についての作戦を立てるぞ」



お前も座れ、そう言われオイラはベッドに座った。

そして、暁に入って最初の任務の策を立てた。



―――――



「ねぇ、旦那」

「ああ?」



オイラは今、旦那こと赤砂のサソリに抱きついている。



「オイラさぁ… 初恋の相手が旦那で良かったって思ってる」

「…そうか…」

「ね! 旦那の初恋の相手って誰?」

「い、言わねぇ!!///」

「えぇー!!」



その後、オイラは旦那にしつこく聞いたけど結局答えてはくれなかった。

けど、オイラは付き合い始めてから薄々感づいていた。


旦那もオイラが初恋相手なのではと…


だって、旦那オイラより長く生きてるくせになんだか初々しいんだもん。

けど、オイラはそんな旦那が…



「旦那! 大好き!!」


END



『゜†。藤色の雫。†゜ 』の愛姫來からいただきました

きゃーこんな素敵なデイサソ小説を…
私得過ぎてもう頬が緩んで仕方がないです///


サソリさんもきっと岩隠れでデイダラを初めて見かけてから
ヒルコの中から一目惚れしていたんだと信じております(/ω\*)

愛姫來こんな素敵なデイサソ小説をありがとう!
こんな奴だけどこれからどうぞよろしくねー♪

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