薔薇の花園
□もしやり直せるなら
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土方に銃を向けながら、俺は昔のことを思い出していた。
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町外れの桜の木の下で、
元攘夷志士で、あの“白夜叉”の俺が出会ったお前は、幕府側の人間だったんだ。
…好きになったら駄目だ。
俺は元は攘夷志士だし、アイツは真選組の副長だ。
第一、俺は男でアイツも男だ。
そう、思ってた。
それでも好きになっちまったんだ…
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「よろ…万事屋。」
「へ?ああ。」
どうやら長いこと俺は回想に耽っていたらしく、土方に声をかけられた。
「万事屋、お前…泣いてるのか?」
それも、耳を疑うような言葉と共に。
「え?」
でも、土方にそう言われ、自分が泣いていることにやっと気付いた。
確認だが、
俺は今、自ら告白した土方に銃を向けている。
…それも泣きながら。
実は、人を銃で撃つのはこれが初めてじゃあないんだが、
泣きながら撃つのは初めてだ。
これから俺に撃たれるかもしれない、っていうのに、土方は凄く優しい顔で俺を見ていた。
…お願いだ、悪いのはすべて俺なんだ。
だから…
そんなに優しい顔をしないでくれ。
そう願った。
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