淡雪と月光

□壱,出逢い
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文久三年九月

──雪村千鶴と新選組が出会う三ヶ月前。


斎藤率いる三番組は夜の巡察に出掛けていた。

斎藤は最近、“新撰組”の者達がよく脱走している事を知っていたので、いつも以上に辺りに注意を払いながら巡察していた。


と、その時。遠くから叫び声が聞こえた。


「この声は…」


“新撰組”の者だ、と斎藤にはすぐ分かった。


「お前達は屯所に戻って副長に伝令を頼む。あちらには俺一人で行く」


幹部以外に“新撰組”の存在を知られてはならない。だから斎藤は隊士達にこう言った。


しかし、隊士達も「ですが組長…」と屯所に戻ろうとしない。


が、斎藤の

「分かったな?」

という言葉が決定打となり、隊士達は急いで屯所に戻っていった。




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