武神と巫女

□四,大人でもゲームのためなら大人げなくなることがある。
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私が真選組の家政婦になってから初めてもらった大きな仕事。それは…


『寒っ…』


弁天堂の新作ゲーム“OWee”を買うことだった。








*************



三日前。

珍しく山崎さんに声をかけられた。


「守村さん、副長が呼んでます。」

『分かりました。土方さんは今どこに?』

「ああ、そうでしたね。自室にいますよ。場所、分かりますか?」

『大丈夫です。お気遣いありがとうございます、山崎さん。』


そう言って私は山崎さんと別れ、副長室に向かった。










トントンッ


『土方さん、守村です。』

「おお、入れ。」

『失礼します。』



『あの…何かご用ですか?』

「ああ…今日は、お前に頼みたい仕事がある。」

『何でしょう?』


今まで頼み事なんてされたことがなかったから驚いたけど、次に土方さんが言った言葉に、私はさらに驚いた。


「弁天堂の新作ゲーム機“Owee”って知ってるか?」


Owee、って…確か弁天堂から出た新作ゲームのことだよね…?


『はい。興味はないですが…』

「三日後に近くの家電量販店で再発売されんだが…絶対に一台手に入れたい。手伝ってくれ。」

『……。分かりました。』


引き受けたけど、まさか真選組がゲームに執着するなんて考えてもみなかった。







*************





―そして冒頭に戻るのである。






以前、土方さん達が並んだ時も、色々あって結局買えなかったらしい。
大丈夫なのかな…。


一応念のため、“白巫女”としての私の隠密である李舜に、別の場所で並んでもらうことにした。

今、この列には土方さん、沖田さん、近藤さん、山崎さんが並んでるはずだけど…
さっき万事屋の皆さん+ロン毛の人と白い地球外生物もいた。


…もう絶対なにか起きる。


「“Owee”再発売開始です!!」



そう言われた時―




「「うりゃぁぁぁ!!」」

「「うぉぉぉぉ!!」」






案の定、知り合いの皆様は列を無視しました。




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