武神と巫女
□九、刀ってそんなに機能付きがいいの?
1ページ/4ページ
朝。
洗い物をしていると縁側の方から何やら話し声が聞こえてきた。
「なあ聞いたか?近々あの人が仕事終えて江戸に戻ってくるらしいぜ。」
「伊東さんだろ。荷物の方が屯所に色々と届いてるよな。大半は仕入れた新型武器なんだって?」
この声…たぶん、一番隊の人だ。
でも伊東さんて誰?
「そうなんだよ。上物の刀とかもあるらしくて、上の連中がとり合ってるんだってよ。」
「いいなァ…俺もおニューの刀ほしいぜ…。」
『あ、あの…』
「「!!」」
「ど、どうしたんですか、乙葉さん。」
『その、伊東さんという方はどんな人なんですか…?』
「あ、えーと…」
「伊東さんは真選組の隊士ですよ。」
そう声が聞こえて振り返って見ると、新しい刀を下げた山崎さんが立っていた。
「!山崎さん。…って!!ひょっとしてその刀は…長船MーIIすか!?」
「ブランドもんじゃないですか!!カッケー!!」
『……。』
…山崎さん、もしかして自慢しに来た?
「別に自慢しにきたわけじゃないよ?たまたま伊東さんの話をしてるのが聞こえたから来ただけだよ。ホントに自慢じゃないよ?」
いや、明らかに自慢しに来たでしょ…顔で分かる。
「いいなぁー。今、渋谷界隈のオシャレな奴はみんな長船らしいんですよ!最先端なんすよ!!」
「そういえば乙葉さんは新しい刀、欲しいって思わないんですか?」
山崎さんが訊いてきた。
『いいえ…私、この刀にちょっと愛着があって…買い替えることは考えてないんです。』
「それはそれで凄いですよ、乙葉さん…!」
「おーい、てめーらさっきから何立ち話してんでィ。」
今度は耳にイヤホンを付けた沖田さんがやってきた。
「あ!沖田隊長見てくださいよ。山崎さんのか…ってえェェェ!!」
「その刀は…菊一文字RXー7!!デジタル――」
隊士さんが何か言ってるけど…刀ってそんなに機能付きの物の方がいいのかな?
私は今持ってるのでずっとやってきてるから分からないけど…
「長船の倍の値段だよ。さすが隊長格は提げてる獲物も違う!!」
そんな間にも会話は進む。
「あ、コレそんなスゴイんだ。適当にもらってきたから知んなかった。アレ?ザキそれ買ったんでィ?その細っせェ棒。」
「…………」
沖田さんの言ったことに…山崎さんはもう呆然としてて。
ちょっと、可哀想。
.