武神と巫女

□九、刀ってそんなに機能付きがいいの?
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朝。

洗い物をしていると縁側の方から何やら話し声が聞こえてきた。


「なあ聞いたか?近々あの人が仕事終えて江戸に戻ってくるらしいぜ。」

「伊東さんだろ。荷物の方が屯所に色々と届いてるよな。大半は仕入れた新型武器なんだって?」


この声…たぶん、一番隊の人だ。
でも伊東さんて誰?


「そうなんだよ。上物の刀とかもあるらしくて、上の連中がとり合ってるんだってよ。」

「いいなァ…俺もおニューの刀ほしいぜ…。」

『あ、あの…』

「「!!」」

「ど、どうしたんですか、乙葉さん。」

『その、伊東さんという方はどんな人なんですか…?』

「あ、えーと…」


「伊東さんは真選組の隊士ですよ。」


そう声が聞こえて振り返って見ると、新しい刀を下げた山崎さんが立っていた。


「!山崎さん。…って!!ひょっとしてその刀は…長船MーIIすか!?」

「ブランドもんじゃないですか!!カッケー!!」

『……。』


…山崎さん、もしかして自慢しに来た?


「別に自慢しにきたわけじゃないよ?たまたま伊東さんの話をしてるのが聞こえたから来ただけだよ。ホントに自慢じゃないよ?」


いや、明らかに自慢しに来たでしょ…顔で分かる。


「いいなぁー。今、渋谷界隈のオシャレな奴はみんな長船らしいんですよ!最先端なんすよ!!」

「そういえば乙葉さんは新しい刀、欲しいって思わないんですか?」


山崎さんが訊いてきた。


『いいえ…私、この刀にちょっと愛着があって…買い替えることは考えてないんです。』

「それはそれで凄いですよ、乙葉さん…!」

「おーい、てめーらさっきから何立ち話してんでィ。」


今度は耳にイヤホンを付けた沖田さんがやってきた。


「あ!沖田隊長見てくださいよ。山崎さんのか…ってえェェェ!!」

「その刀は…菊一文字RXー7!!デジタル――」


隊士さんが何か言ってるけど…刀ってそんなに機能付きの物の方がいいのかな?

私は今持ってるのでずっとやってきてるから分からないけど…


「長船の倍の値段だよ。さすが隊長格は提げてる獲物も違う!!」


そんな間にも会話は進む。


「あ、コレそんなスゴイんだ。適当にもらってきたから知んなかった。アレ?ザキそれ買ったんでィ?その細っせェ棒。」

「…………」


沖田さんの言ったことに…山崎さんはもう呆然としてて。

ちょっと、可哀想。




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