武神と巫女
□十二、オタクの話し方が(略)嫌い。
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“ニート、引きこもり…。
その予備軍といわれる「オタク」という存在は今、若者達の間に確実に増え続けている。”
次の朝。万事屋で朝食の準備をしているとテレビにそんな文字が写し出された。
その次に出たのが、
“オタクサミット 朝まで生討論”。
…バカみたい。
「ヤバイ。始まってしまったアル。アレ?ここかな…おかしいアル。」
「何やってんのお前?」
「新八の勇姿を録画してやらないと!」
「新八?そういや今日来てねーな。」
いつもと変わらない日常に思えるんだけど、ツッコミの新八くんがいないとどうもしっくりこない…。
《そもそもオタクが全て引きこもりやニートの予備軍――――――社会と向き合って生きてるオタクもいるんです》
真面目な意見が聞こえたと思ってテレビの方に振り向くと、そこにいたのは親衛隊の法被を着た新八くんだった。
ネームプレートには
“53番 アイドルオタク
志村隊長”
と書いてある。
あ、新八くんてそういえば、寺門通のファンだったっけ…。
「何やってんのアイツ…。」
ソファーに座ってる銀さんが呟いた。
《あーわかりましたわかりました。ちょっと…他の人の意見もききたいんで。》
あれ、新八くんうざがられてる。
「オイオイ メッチャうっとーしー奴になってるよ。コレ間違いなく視聴者に嫌われてるよ。」
《大体ね オタクって一口で全て一緒にするのはおかしい!!》
「ヤバイ、白熱してきたアル。オイ動け!ポンコツ。」
テレビの前でガチャガチャと何かをいじる神楽ちゃん。
その間にも議論は白熱していく。
なんか新八くんの発言で、アイドルオタクvsアニメオタクみたいな構図が出来上がってる。
そこに新しい意見が入った。
《あっ ちょっと意義があるんだけどもいいかな?》
Gジャンの肩の部分をギザギザに破いた服を身にまとい、ハチマキとサングラス付け背中には刀を背負った人だった。
7番 アニメオタク
トッシー …
とっしー…?
なんか名前が気になるそのトッシーは、やたら新八くんに対して攻撃的な発言をしてる。
「7番腹立つアルナ〜。新八いけェ!!」
神楽ちゃんも新八くんを応援し始めた。
《いや そういう分不相応な考えそのものが現実を見ていない何よりの証拠であってさ。》
最後の言葉が決定打になったみたいで、ついに親衛隊の人がキレた。
《ああっと ここで二次元派と三次元派の間で乱闘が!!》
チーン、と音がした。
ってチーン?
トーストを片手に持った神楽ちゃんは笑顔だ。
「できたアル!トロトロアル〜!!」
『あ、こら神楽ちゃん!何朝食の他にパン食べようとしてんの!?』
「つーかパン焼いてたの?録画じゃなかったの?」
そんな風にして居間に着いた時、ふとテレビを見て思った。
『あ、れ…?』
さっきまでサングラスをしてた7番の人、なんか見覚えが…。
「アレ、どっかで見た顔だな…。」
銀さんもそう言ってる。
…!!
ま、まさか…。
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