□原案、もしやり直せるのなら
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アイツ(長)から渡された、実弾入りの拳銃を、目の前に立つお前―土方に向けた。


さよなら、愛しい土方…





もし、やり直せるのなら、
またお前と二人で夏祭りにでも行きたい。
…すまねぇ。本当はそんなこともう無理だって分かっているんだ。ただ心が追い付かないだけなんだ。
なんで俺達がこうなってしまったか、だって?
それは……最初から俺達は違いすぎてたんだ。ただそれだけだ。





町外れの桜の木の下で、
元攘夷志士で、あの“白夜叉”の俺が出会ったお前は、幕府側の人間だったんだ。


それでも好きになっちまったんだ…


人を撃つのはこれが初めてじゃないが、
泣きながら撃つのは初めてだな。
…お願いだ、悪いのはすべて俺なんだ。だから、
そんなに優しい顔をしないでくれ。


春に出会ってすぐに
恋に落ちた。

夏には沢山の思い出を作った。

秋の夜に、遂に一つになった。

けれど…



冬に全て、終わりを告げた。





劇鉄を起こし指を引き金に。
人差し指が小さく震えてしまう。
俺は最後に「すまねぇ。」と言った
お前は最期に―




バンッ




もしも…生まれ変わってやり直せるのなら、
また二人で夏祭りの花火でも見に行こう。
…ははっ、心配するなよ。大丈夫だって。きっとすぐに会えるから。
ずっと一緒にいよう、っていつも言ってたもんな。





バンッ



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