□狂気の夢
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ゴオォ…

風が強く吹いている。

その風に乗ってくるのは…
鼻につく匂い。

そう、血の匂いだ。



気が付くと、オレは一人戦場で立っていた。


戦場で、ただ一人。

それが意味するのは…オレ以外、全員死んでいるということ。



生きてる奴は誰もいない。


とりあえず歩くと…死体は知ってる奴ばかり。



ザキ、原田、近藤さん…



知ってる奴というか死んでいるのは全員、真選組の隊士。

ということは…






少し離れた処にそれはあった。


「あんたも死んだって…嘘だろィ。」


―そう、土方さんの死体。


確かにオレは毎日バズーカを土方に向けている。
けど、実は本当に死んで欲しいなんて思ったことは一度もない。


あれは、素直になれないからこその、一種の愛情表現なんだ。



「…起きろよ。」


だから、


「…起きなせェ。」


オレは目の前の事実を受け入れられなかった。



でも更に信じられない事実が。

土方さんに触れようとした己の手が紅く…血で汚れていた。


「!!……ぁ、」


服にも目を向けると…真っ赤。


「…うあ、ぁ…」




―目の前の事実は全て、オレがやったことなのか?





そんなの、信じられない…。


…しんじたくない。





でもここで今生きてるのは、



「あ……」


オレだけ。


そのことを認識した瞬間、世界がまっくろになった。


「うわぁぁぁあ……―」






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