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□八方鬼人が弱る理由
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とある日の朝。
俺の姿は副長室にあった。
「―今回も長期の潜入になる。大丈夫か。」
理由はもちろん仕事。それも監察の、だ。
今回、副長が長期と言うように割合危険が伴う事になる。
真選組の者だとバレないように宿屋と攘夷浪士の関係を探るのだ。
「ええ、勿論平気です。
ただ…」
「なんだ。」
監察として難しい仕事を任されるのは誇らしいし嬉しい。
でも、最近思う。
離れている間に、土方さんの気持ちが冷めてしまうんじゃないか、って。
恋人になってからもなる前も言葉に、行動に感情を表すのは俺ばかりで。
そりゃ土方さんは前から感情をあまり表に出すような人じゃなかった。俺だって最近ようやく目や声である程度分かるようになった位だ。
けど…何も言われないとどうしたって不安になる。
実は無理して付き合ってるじゃないかとか、やっぱり嫌いなんじゃないかとか…。
そんな事言葉に出して言えるはずもなく。
「…いえ。なんでもありません。それじゃあ行ってきます。」
「ああ。頼んだぞ。」
―――そしてあっという間に三週間が過ぎた。
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