□目薬と睫毛の長さについて。
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高尾side


放課後の秀徳高校体育館にて。

今日は特に試合もないし、大会も近くないからシュート練が続いてる。

俺の相棒の真ちゃんは、ほぼ百発百中でシュートを決める秀徳のエース様だ。
今日も相変わらず、『仁事は尽くしたのだよ。』とか言っちゃってさぁ。ま、仁事尽くしてるからなのか知んないけど、シュート決め続けてる当たりは真ちゃんらしい。

……俺?

あー俺は、真ちゃん曰く仁事を尽くしきってない様で……入ってません☆


面倒くさくなって、一旦休憩しながら尚もシュート練を続けるエース様を見つめる。


──あ、真ちゃん外した。


体育館にはどよめきが走る。
宮地先輩のでこには青筋が走る。…なーんちって。


その後も、真ちゃんは立て続けにシュートを外した。すると真ちゃんは自分のバッグから何やらゴソゴソ取り出して、此方へ向かってきた。


「どうしたの、真ちゃん?立て続けにシュート外すなんて。らしくなくない?」

「目が…」

「目?まさか怪我したの!?」

「そんなわけないだろう。その…疲れが出たみたいでな…」


真ちゃんの手に握られていたのは目薬。


「自分でさしたいのだが、先が睫毛に付くのは駄目だと書いてある…つまりだな…」

「俺にやってほしいって?」

「…ああ。」


真ちゃんは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして横を向きながら答えた。

─どうしたって、顔がにやける。

だって、真ちゃんは信頼してる人の前でなきゃ、眼鏡なんて外さない。
これが優越感その1だろ?

んで、一杯人がいる中で俺を選んで「やってくれ」と頼んでくれた。
これが恋人特権みたいで、優越感その2。

本当は今すぐ抱きつきたいけど、先輩とか先輩とか先輩とかいるからまた後でだ。


「分かった。真ちゃん座ってて。俺届かないから。」

「ああ。」


眼鏡外して、上向いて待ってる真ちゃん。なんか可愛い。

じゃなくて。俺はさっさと目薬をさした。


「はい、終ーわりっ。」

「ああ、助かったのだよ。ありがとう高尾。」


眼鏡をかけ直しながらそう言う真ちゃん。その様子で思い出した。


「そういえば真ちゃんってさ、滅茶苦茶睫毛長いよね。」

「そうなのか?」

「うん、つけ睫毛付けなくてもいい感じな長さだから女子が気付いたら羨みそう。」

「そうか…」

「ま、俺が真ちゃんに近付かせねーけどなっ。」

「誰を?」

「女子だよ、女子。だって真ちゃんの睫毛の長さなんて眼鏡外さないと分からないじゃん。そんな距離まで近付かせねー。絶対に。」

「っ……」


俺の言ってる意味が分かったのか、真ちゃんは真っ赤になった。
凄く抱き締めたいけど、なんだか後ろから黒いオーラを感じる。(ホークアイ使わなくても解るっての!)


「おい高尾…いい加減にしねぇとそろそろ轢くぞ…?」

「わっ、宮地先輩!すいませんした!」


轢かれるなんてたまったもんじゃない。真ちゃんはいつも通りに戻ったみたいだし、まあもう終わりにするか。


俺は真ちゃんに近付いて耳元で言った。


「じゃ真ちゃん、また後でイチャイチャしよーね。」

「っ〜///高尾!!」

「高尾てめぇ!」

「わー、先輩怖ーい!」

「棒読みすんなコラ!」





その後怒られたけど。
俺にとってはまた楽しみが一つ増えた。




真ちゃんの関わる事なら俺は
なーんでも独占したくなるからね♪

なーんてな。





〜終わり〜

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