薔薇の花園

□Ti amo.
1ページ/1ページ





「どうしてここにいるの。」


雲雀は応接室に帰ってくるなりそう言った。


理由は、本来イタリアにいるはずのディーノが、ソファで眠っていたから。


雲雀はトンファーで殴って起こそうか、とも考え、近くまで寄ったがやめた。

ディーノの顔には明らかな疲労の色が。
いつものことだが、ディーノは一マフィアのボスで忙しい筈なのに、雲雀のためなら無理にでもスケジュールを組んで雲雀に会いにくる。
恐らく今は、待っている間に我慢出来ず、寝てしまったところだろう。


ディーノが寝ているのをいいことに、雲雀はその顔に触ったり、髪の毛をいじったりした。


すると…


「…ん……ふ、ふぁぁ〜…って恭弥!!戻ってきたなら起こせよ!!」


ディーノが起きてしまった。


「別にそのまま寝てていいよ。あなた疲れてるだろうし。」

「恭弥の顔見れたら疲れなんてあっという間に吹きとんじまったよ。なあ恭弥、」

「??」

「Buon Compleanno.恭弥!」

「…それってどういう意味?」


まだ中学生の恭弥にはイタリア語は分からなかった。



「誕生日おめでとう、っていう意味だぜ。」

「ああ、だからこんなに色々なものがあるのか。」


そう言って雲雀が指差した先には大量のプレゼント。


普段は雲雀が嫌悪するようなそれも、ディーノから贈られるものなら嬉しいものだった。


「じゃあ、僕も言わないと。」

「?どうした、恭弥?」

「Ti amo.ディーノ。」


それは雲雀がたった一つ知っているイタリア語。


「恭弥!それ何処で覚えた!?」

「…街で流れてた曲で。でも本当の意味は知らない。」


普段気にも止めないような甘ったるいラブソング。
だがたった一つ、ディーノの故郷・イタリアの言葉が入っていただけで雲雀は気にかけた。


「嫌だった?」

「嫌じゃねぇ。すげぇ嬉しい。」

「恋人の曲だったけど、この言葉の本当の意味は?」

「ああ、それはな――」





“Ti amo.”

…愛してる。と同じ。
愛を伝えるための言葉。





〜END〜



Buon Compleanno,HIBARI !!


2013,05,05
綺羅
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ