淡雪と月光

□参,入隊
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「決まりだな。」

「でも土方さん、彼女、何番組に入れるんですか?」


獅子藤の入隊を決めたはいいものの、当然起こる問題を、沖田は土方に尋ねた。


「俺の組はダメだぜ。」


一番初めに新八が答えた。


「そうだよな。新ぱっつぁんの組は討ち入りとか毎回怪我人続出だし。」

「新八さんに訊いてないよ。平助の意見は分かるけどね。」


そう言う二人。
さらに局長の近藤や井上は…


「女性だから、本来ならば戦場になど立って欲しくはないのだが…あいにく人手が足りないんだ。」

「そうだね。強い人はなかなか入隊してこない。」


と、最早別な問題を話始めていた。


『…話が段々ずれてきてます。』


洸はこのままではまずいと思い、声をかけた。


「おぉ、すまなかったな。で、トシ、お前は獅子藤君を何番組に入れたらいいと思う?」

「俺は…三番組に入れるべきだと思う。」

「!!」


その言葉に当然斎藤は驚いた。


「あの強さなら本当は一番組に入れたいところだが…あの組は斬り込み部隊だから目立つ。」

「まあ、否定できないですね。」


目立つ組に男装しているとはいえ女を入れるのはまずい。その考えは土方も沖田も同じものだった。


「そういうことだ。…いいか?斎藤。」

「分かりました。」


斎藤はあっさりと了承した。


「じゃあ、解散!おい、斎藤と獅子藤。ちょっと来てくれ。」

『なんでしょうか。』

「獅子藤、お前の部屋のことなんだが…」

『すいません、これが一番難しい話ですよね。』


洸が申し訳なさそうな顔をした。


「お前を入隊させると決めたのは俺達だから、気にするな。で、お前には屯所の角の部屋を使ってもらう。」

「…もしや、あの部屋ですか。」

『?』

「ああ。」

『あの、“あの部屋”とは?』

「あの部屋は、たしかに平隊士からは分かりにくい部屋なんだが…前川邸に近い。」

『それって、まずいことなんですか?』

「ああ。あんたにとっては悪い部屋かもしれない。」

「これ以上はまだ言えることじゃねぇ。今日はとりあえず部屋で休んでいてくれ。斎藤、悪いが獅子藤を部屋まで連れていってくれるか?」

「了解しました。」




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