武神と巫女
□二,こんな再会ってアリですか?
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万事屋一同が看病していたが少女はなかなか目を覚まさなかった。
そして今は、3日後の昼前。
「まだ起きないアルナ…」
神楽は少女が目覚めてないか朝から何度も確認していた。
「そんなの、もうちょっとで起きるぜ。」
「でも…」
そこへ、お登勢が上がってきた。
「あの子、起きたかい?」
「いえ、まだです…」
新八とお登勢が廊下で話していたその時。
『あ、あ…の…』
「「「!!!」」」
…少女が起きた。
その事で皆が少女の元へ駆け寄った。
『あの…ここ、は…?』
「やっと起きたアルかー!!」
神楽はそのまま少女へ抱きついた。
『へっ…?』
「あー、ごめんなさい。駄目だよ神楽ちゃん、急に抱きついたりしたら。」
『いえ、大丈夫…ですけど…』
少女は訳がわからず、少々戸惑っているようだった。
少女の意識がはっきりしてきた所で、まず初めにお登勢が少女に話しかけた。
「アンタ、ここがどこだか知りたいんだよね?」
『あ、はい。』
「ここは“万事屋銀ちゃん”っていう何でも屋の事務所の中だよ。アンタ、この下にある私の店、“スナックお登勢”の前で倒れてたんだよ。とりあえず名前は?」
『私は、守村乙葉と言います。あの、皆さんは…』
とここから自己紹介が始まった。
「まず、私はお登勢だよ。さっきも言ったけど下の階でスナックお登勢っていう店をやってる。」
「私は神楽いうアル!この万事屋銀ちゃんの従業員ネ!」
「おいおい神楽、従業員がなに店主の前に挨拶しちまってるんだよ…あ、俺は」
『ぎ、ん…?』
「ん?俺に見覚えあるのか?」
『あっいえ…。か、髪の毛が綺麗な銀色だなぁ、って…』
「そうか!俺は坂田銀時。この万事屋銀ちゃんの店主だ、よろしくな。であとの一人が…」
「「メガネ」」
神楽と銀時が新八のことを指差しながらハモって言った。
「コラァァァ!メガネ言うなぁぁぁ!
あ、えーと乙葉さん、僕は志村新八と言います。ここの従業員です。」
『ふふっ。皆さん、仲良しなんですね。』
乙葉は楽しそうに笑った。
「にしても、道端で倒れてるなんて…一体何があったんですか?」
『あ、そういえば…私…確か後ろから刀で刺されて…って服は…?』
「あら、女を刺すなんてひどい奴だねぇ。大丈夫だよ、そこの奴らが手当てしてくれたから。ちなみに服は神楽のだよ。ちょっと小さいかもしれないけど我慢してちょうだい。」
『そうだったんですか。ありがとうございます。』
乙葉は深くお辞儀をした。と、
グゥゥー
『あ…』
乙葉のお腹が鳴ったのだ。
「ご飯、作りましょうか。」
と新八が言ったが、
乙葉は『待って下さい。』と止めた。
『今はそれよりも私、お父様に連絡をとりたいです…きっと今頃心配してる…たぶんもう丸一日帰ってないんです。』
「一日どころじゃないと思うぜ。お前、2日間ずっと眠ってたんだから。」
『ええっ!?』
「っていうか、なんで家に帰ってないアルか?」
『追ってくる人達があまりにもしつこすぎて…』
「追われてるのか?」
『はい。』
「それならとりあえず電話しましょう。」
『えっと、番号は───』
トゥルルル
『皆さんから言って下さった方がいいと思います。』
“もしもし、九頭竜神社ですが。”
「あ、もしもし。俺は万事屋銀ちゃんの店主の坂田ですけどー、「えっと名前なんだっけ?」『乙葉です。』“娘、そちらにいるんですか!?”」
「銀さん、面倒くさいのでかわります。」
と、新八が替わった。
「もしもし、守村さんのお父上ですか?」
“はい。”
「娘さんは今、怪我を負っていて、こちらで預かっています。娘さんの怪我がきちんと治るまで、こちらで預かっていてもよろしいでしょうか?」
“ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。あの、よろしければ娘と替わっていただいても…”
「そうですよね!」
そして新八は乙葉と替わった。
『もしもしお父様?ごめんなさい。……うん、またあの人達……うん。うん、わかった。あの人達、またそっちに行くかもしれないからお父様も気をつけてね。』
ガチャン
と同時に玄関からピンポーン、という音がした。
新八が玄関へ向かい、扉を開けた。
「はーい。……って沖田さん。どうしたんですか?」
『そりゃあもちろん、サボりにきやした。』
「…沖田さん、真選組の人なのにサボりって…」
会話を続けながら二人は居間までやってきた。
そこで、沖田と乙葉の目があった。
『「あ……。」』
「あれ、なに?二人とも知り合い?」
『はい。』
「そうでさァ。この前は名前訊きそびれましたけどねィ。」
『…じゃあ、皆さんにちゃんと自己紹介していないですし、私、自己紹介します。』
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