武神と巫女
□十、突然気分を変えようとすると何か悪い事が起こる。
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『……………え?』
思わず唖然とした。
だって、土方さん…いや、鬼の副長が完全に土下座しちゃってるんだもの。
『…えと、土方さん?一体…』
「すいまっせん!命だけは勘弁してくださいィィ!!何でもしますからァァ!」
『ちょっ、ちょっと土方さん!あなた何言って…』
「「「「ギャハハハハハハ!!」」」」
思いっきり笑われてるのに、土方さんはまだ顔を上げない。
…これが、本当に、土方さんなの??
「なんだこのヘタレ!!訊いて呆れる!あの鬼の副長と恐れられる男が…無様だな!!ブワハハハハハハ!!」
『もう、早く立って下さいよ!!土方さん!』
「おいそこの女!勝手な真似すんじゃねぇ!!」
しまった…。
土方さんに駆け寄って、立たせようとしたら浪士に蹴られた。
土方さんに気をとられてて、油断してた。
『いたっ…』
そんな私を見て土方さんは浪士を睨み返した。
「てんめェェェ!!」
「ひいィ!!」
「あの これ位でホント勘弁してください。三千円あるんで。お互い不利益じゃないと思いますよ?」
そして土方さんは何故か財布を取り出した。
…だから一体何が起きたの!?
「びっくりさせんじゃねェェェ!!」
「ふざけんなァァ!!コロコロ変わりやがってェ…つーか大の大人が三千円ってありえねーだろォォ!!」
さらにまた蹴られる土方さんを見て今度こそマズいと思ったから、仕方がないから刀―って言っても木刀だけど―を抜く体勢をとった。
…けど。
「…お嬢さん、おやめなさい。」
やっと見なれてきた真選組の制服が目に入り、思わず手を止めた。
でも、知らない声。
その人は、一瞬で浪士達を峰打ちで斬り伏せた。
「真選組隊士が襲われていると噂で聞き、駆け付けてみれば…君は一体何をやっているのかね。土方君」
「お…お前は…伊東…」
…新たに真選組の参謀となる、伊東鴨太郎さんだった。
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