武神と巫女
□十四,相反する者…っていうとなんか格好いい。
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私は改めて、下からの会話に耳を澄ませる。
ああ、爆発音邪魔。
「沖田君。君はもっと利口な男だと思っていたが、我々全員を一人で片づけるつもりか。」
「…」
「近藤を逃がし──にでもひたろうというのかね。」
さっきよりも爆音が五月蝿くなってきた。
『(もう、なんなのよ。…!)』
──そこで初めて気付いた。
「だが残念だったな。近藤は僕の計画通り死ぬ。」
左手ではバイクに乗った…ヘッドホン男を先頭にいくつもの車が前方車両に向かっていた。
「この戦場にいるのは僕達だけではない。」
「…チッ………鬼兵隊か。」
鬼兵隊…高杉が作ったっていう組織か。入隊当初に気を付けるように言われたっけ…
「けどワリーな伊東さん。実は俺も一人じゃねェ。そろそろ…」
ドォウン!
響き渡るは何かの爆発音。
「おーきたきた。」
『(たぶんあのボロボロパトカーでもいい加減追い付いたんじゃないかな…(笑))』
見えてきたのはさっき別れた一台のパトカー。
「バカな…あれは。」
…万事屋と、車の上で刀を支えに膝を付いて煙草をくわえる土方さんだった。
「御用改めであるぅぅぅ!!てめーらァァァ神妙にお縄につきやがれ!!」
「ひっ…土方ァァァァァ!!なっ…何故奴がこんな所に。」
クールに気取っていた土方さん。けどその直後に木の枝にぶつかったら、トッシーのリアクションだった。
『まだ戻ってないの…』
「…チッあの野郎、本当にバカ共連れて来やがった。だが奴等潰すには軍隊一個あっても足らねーぜ。」
再度聞こえてきた言葉に確かに、と思った。
元・白夜叉の銀さん、夜兎の神楽ちゃん、銀さんの弟子の新八くん、あと今役立たずだけど本当は強い土方さん改めトッシー。
この人達倒すにはたぶん50人じゃ足りない。
あと、一応列車の屋根に私もいる。
そこからは、万事屋チームのバズーカであんまり聞こえなかった。
「─てめーら全員俺が粛清する。」
ドォン
「─…君達の真選組は消えるのだ!!」
伊東さんが非常用のドアを開けたお陰で、捨てゼリフのような言葉だけ聞こえた。伊東さんはそのままヘッドホン男のバイクに乗り移る。
「奴を粛清しろ。僕は近藤を追う。」
そうして伊東さんは去っていった。
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