武神と巫女

□十五,最後まで気を付けましょう(略)
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〜乙葉side〜




「バカヤロォォ!年寄りより先にいっちまいやがってェェェ!!」


中からおじさんの叫び声がする。
まあ、真選組で葬式の真っ最中なんです。


私?


私は…襖にへばりついてる山崎さんのさらに後ろ、木の辺りにいます。

なんやかんやあった今回の事件、一応私も居なくなってた身だからなかなか戻れなくて、気が付いたら何かの葬式真っ最中。恐らく、山崎さんの。




『(って山崎さん死んでませんよ…)』


完全に存在感消しとく為に、私も真選組と連絡一切絶ってたからな…山崎さんの入院を知らせてなかったとか、迂闊だった。


「俺ァなぁ…お前のこと─本当の息子のように思って…うぐ─プー助!俺を置いていかないでぐれェェェ!!」


ここからはあまり中の様子は分からないけど、どうやら犬の写真が大きくあって、横に小さく山崎さんの写真があるらしい。


『………』



何も言えない。●島じゃないけど。


あと中からは葬式で聞こえるはずのない雑音が聞こえる。
喋ってる声(一方通行)とか、ヒソヒソ声とか漫画雑誌捲る音とか…。

あ、誰かなんか飲んだな。ゴクゴクって音した。


くう、今度戻ったら局中法度違反のロシアンで全部入れ(唐辛子ワサビマヨMix)試してやる。


『(さて、今現在の状況はどうしよう…)』


──その時。


「…乙葉。」

『キャッ!』

「シーッ!」


振り返ると…土方さんだった。
子声で返す。

『土方さん…!』

「ああ。急いでコレ持て。お前なら持てるな。」


手渡されたのはバズーカ。


『って何するんですか。』

「山崎含め切腹命令。」


小さくてもその地の這うような声は十分迫力があった。


『(怖い…)』

「じゃ行くぞ。」

『は、はいっ。』


土方さんが歩きながらバズーカを準備する。私もそれに見習った。


「『せーの』」


ドゴォォ


「ブォア!」

『(ごめんなさい、山崎さん…!)』


私達が発射したバズーカは山崎さんの背中にクリーンヒットして襖ごとぶっ飛ばした。


「ぎゃああああ!!山崎が化けて出たァ!!」


隊士達の悲鳴を無視して、私達は土煙の中を歩いて進む。


「局中法度十二条 マガジン以外の漫画局内で読む事なかれ」


「!」


『局中法度一七条 会議及び重要な式典の際中は携帯の電源を切るべし』

「!!」

「局中法度四十五条 死してなお、化けて出る事なかれ。武士たる者潔く成仏すべし」


土煙が晴れた時、部屋は静まりかえっていた。


「『てめーら全員士道不覚悟で切腹だァァァァァァァァ!!』」


「………副長…乙葉さん…」


「「「「副長ォォォォォォ!!」」」」

「やったァァァァ!!副長が戻ってきたぞォ!!」


隊士さんは一斉に土方さんに駆け寄った。その隙に私は沖田さんや近藤さんがいる方へ向かう。


「お帰んなせェ。」

『ただいま戻りました。』

「すまなかったなあ、乙葉ちゃん。」

『いえ、また今日からよろしくお願いします。』


土方さんが戻ってきて隊士さん達が笑顔になっていた。


『ふふっ、近藤さんはもちろんそうですけど…土方さんも、皆さんから愛されてますねぇー。』

「ん?どういう意味だ?」

『ふふふっ、こっちの話です。』


大切にされているのが、ひしひしと伝わってくる。そういう話なだけですよ。

そこで、沖田さんが気付いた。


「あ、とっつぁん気絶してる。」

「え、マジでか。」

『さっきかなり襖飛んでましたからねぇ…まあ、私はその方がバレないので都合いいですけど。』

「そういう問題かよ。」


沖田さんにツッこまれたその時…─




“プリキュア プリキュア

プリキュアプリキュアプリキュア


プリティでキュアキュア

ふたりはプリキュア〜”



ちゃ、着信音…。



「(ピッ) はい もしもし。
    土方でござる」




…どうやら災難は、まだ続くらしい。




〜十五,最後まで気を付けましょう、何があるか分かりませんから 終〜
(2015,01,18)
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