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□導き出される答えとは
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その日、私は朝から具合が悪かった。
吐き気と熱っぽさ。
風邪でもひいたかしら?気を付けないと。

今日は私が洗濯当番。
ナミと自分の服を洗って干したあと、ついでだからとお風呂場も掃除する。
かがんでた体をを起こしたあと、さぁっと血の気がひくのが分かった。
咄嗟にバスタブの縁をつかんだものの、力が入らず、体が崩れ落ちていく。
しゅんしゅんと響く耳鳴り。
ゾロ…。ゾロ…。
気づけば愛しい男の顔を思い浮かべていた。

「…!…!」
体を揺すられる感覚。
この声は…ナミ。バタバタと走り去っていく音。
頭をあげようにも、ピクリとも動かない。
掃除の時のお湯を出しっぱなしにしていたらしく、全身が濡れているのに気付く。
いけない、風邪気味だし着替えないと…。
でも、体が…。
しばらくすると、またバンッ!と音がした。
「ロビンちゃん!」
サンジだ。
「ロビンちゃんしっかり!今チョッパーんとこ連れてくよ!」
サンジにひょいっと抱えあげらる。
細い体なのにやっぱ男性なのね、と変な所で尊敬する。
やがて、少しずつクリアになる頭。
「サンジ…」
「ロビンちゃん!よかった、気がついたんだね!」
「ごめんなさい、ありがとう…」
「いいんだ。あ、ゾロはウソップが呼びに行ってるから。すぐ来るよ」
保健室まで颯爽と走るサンジを見ながら、頭の中は、また無理しやがって、と怒るゾロの顔を思い浮かべていた。

保健室に入ると、ゾロとウソップ以外が揃っていた。
「あ、ロビン!どうしたんだ!びしょ濡れじゃねぇか!」
ルフィとナミに駆け寄られる。
「ロビン!ビックリしたわ!お風呂掃除するって行ったっきりなかなか戻ってこないし、様子見に行ってみたら…」
「ナミ、ごめんなさい…」
「サンジ、ありがとな。ここへ…」
チョッパーに促されてベッドに寝かされ、体を毛布で包まれる。
体は相変わらず動かない。
「顔が真っ青だな。貧血だと思うけど。念のため色々調べてみよう」
チョッパーが聴診器を当てて、軽めの診断をしてくれる。
そこへ勢いよく扉が開き、ゾロとウソップが駆け込んできた。
「ロビン!」
ドカドカとベッドの脇にきて座り込み、私の顔に手をやるゾロ。
汗だくの顔は眉根を寄せて、いかにも、心配で飛んできました、と言わんばかりの表情を浮かべている。てっきり怒られると思ってたのに。
「大丈夫よ、ごめんなさい…」
「ゾロ、今日はついててやったらどうだ?」
ウソップが、ゾロの肩を軽くポンと叩く。
「ああ、そうする…」
その言葉だけで救われる思いだ。
体や、あるいは心が弱っているときに、好きな人がずっとそばにいてくれるのは心強い。

診察の為、とゾロ以外の全員が保健室を出る。
「いやぁ〜、さっきのゾロの顔、写真に撮っときたかったぜ!」
「心配、ってありありと顔に書いてあったな」
アハハと笑う声が扉越しに聞こえる。
私の病状も大したことなさそうだから、安心したのだろう。
「…ったく、あいつら…」
ようやくゾロも落ち着いて汗を拭き始め、終わるとチョッパーの許可を得て、私の体をゆっくり抱え起こし、自分の体にもたれかけさせて頭を拭いてくれていた。
「ロビン。どんな具合だ?」
チョッパーの診察が始まる。
「ええ…。チョッパーの言う通り、倒れたのは貧血だと思うの。何度か経験あるし」
「うん。女の人は多いからな」
「朝から吐き気があったわ。あとちょっと熱っぽかったから、風邪気味なんだと…」
ゾロは私を後ろから抱きしめ、手をさすってくれている。
「頭痛は?咳は?」
「どちらもないわ」
しばらく考えるチョッパー。
「月のものは?」
「え…?えっと…」
「…そう言えばしばらくねぇんじゃねぇか?」
私のかわりにゾロが答えるところが生々しい。
でも、それによって導き出される診断。

「…ロビン。まさか…」
「チョッパー…」

私は思わずゾロを仰ぎ見る。
ビックリしているような表情を浮かべているゾロ。
「ゾロ…」
ゾロの私を抱く力が強くなった。
そして以前、二人で交わした会話を私は思い出していた。

つづく

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