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□二人の決意
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何度も何度も、数えきれないくらい、ロビンと体を重ねた。
もういい大人だろう。当然のことだ。
ロビンを味わえば味わうほど、俺はロビンに溺れていく。
もう抜け出すことは不可能だ。
とっくに自覚していた。

ロビンが毎晩、薬を飲んでいることを知ったのは、その体を知って間もなくのことだった。
いつもこっそりベッドを抜け出し、洗面所へ行くロビンの後を、ある日何気なく追ってみたのだ。
初めは、頭痛薬とかビタミン剤とか、そんなもんだろうと思っていた。
「どこか具合でも悪ぃのか?」
びっくりしたような顔で振り返るロビン。
「いいえ、違うわ…」
「なら何の薬だ?」
きょときょとと目を泳がせる。
言い訳を探そうとしているように見えた。
「俺には何でも正直に話せ」
ロビンの肩に手を置く。
決心したようにはぁっと息を吐くと、俺の目をじっと見つめた。
「避妊薬よ」
ロビンの口から出た言葉に、背筋が寒くなる。
俺はゴムもつけてないし、ロビンの中に躊躇することなく放ちまくっている。
その結果どうなるかは、勿論知っている。
そうなったらなったで、俺は全く構わないとも思っている。
俺は思わずロビンの腕を掴み、ベッドへと引っ張って行って座らせる。
俺もその横に座ると、少し話そう、と切り出した。

「なぜ薬を飲む?」
「何故って言われても…」
「子供ができたら困るのか?」
自分でも分かっている。愚問だ、これは。
当然だろう。
俺たちは夢がある。とてつもなく大きい夢だ。
それに、多くの敵に狙われる海賊でもある。
身重だったら、小さな子供がいたら、確かに大変な苦労はあるに違いない。
「俺とは体だけの関係なのか?」
「違うわ!そんな…酷いこと言わないで…」
ロビンは俺の手を握って何度も首を振る。
「私だって、あなたの子供を産みたい。でも…一味に、あなたに迷惑をかけたくない。だからと言って、船を下りたくもないし、夢を諦めるのも嫌なのよ…。それに、二度とあなたと離れたくない…」
そんな事分かってるさ。
いつかこう言う話をする日が来る事も。

「俺もだ。だが、お前と、俺の血が繋がった子供を育てる夢もできちまった」

ロビンははっと息を飲む。
「連中にお伺いをたてなきゃならんが…。このまま船に残ってお前と子供を守る。お前だけ船を下りることは絶対させねぇ。下りるときは俺も一緒に下りる。どっちにしろ、俺たちは離れることはねぇ。もう二度とな」
目に涙をたっぷり溜めたロビンは、何度も頷いた。
「分かったな。もう薬は飲まないでくれ」
ロビンの涙がポトリと俺の手に落ちた。

あれから、約束どおりロビンは薬を飲むことを止めた。
少し体調が良くなったみたい、と笑う。
これからの人生を左右する重要な話し合いをし、お互いの気持ちを確認しあったことで覚悟も決まった。
俺はさらに強さへの欲が増し、愛し合う時は、もっと深く愛し合うようになった。

今、願ってやまなかった事が起こっている。
覚悟をしていたとはいえ、実際直面してしまうと頭が真っ白になった。
腕に抱いたロビンが心配そうに俺の顔を見上げている。
大丈夫だ。揺らいじゃいねぇよ。
ロビンを抱く手の力を強くする。

「ルフィに…全員に話しに行こう」


つづく

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