拍手ページ作品

□揺るぎない意志
1ページ/1ページ

ある日、避妊薬を飲んでいるところをゾロに見つかってしまった。
今まで見つからないように、こっそり飲んでいたのに。
それがばれるのが怖かったのは、私のゾロに対する気持ちが疑われてしまうのではないか、ということ。
私のゾロへの想いは本物だ。
どうしようもないくらい、ゾロを愛してしまっている。
彼によく似たかわいい男の子を産みたい。
私以上に幸せな人生を送れる女の子を産みたい。
でも、海賊として追われる身である以上、子供を産んで育てるなど、夢のまた夢だと思っていた。

話をすると、ゾロは分かってくれた。
そして、何があっても絶対に、もう二度と離れることはない。
そう約束してくれた。
だから私も薬を飲むことを止めた。
母親になりたい思いがさらに強くなった。
できることなら、みんなが許してくれるなら、このサニー号で。
二人の間にできた、新しい夢。

「ルフィに…全員に話に行こう」
ゾロは強く私を抱き締め、じっと目を合わせる。
「ええ…」
「ゾロ!ロビン!」
チョッパーは何故か泣きそうになっている。
展開次第では、二人揃って船を下りる覚悟もできているというのが伝わったのか。
「チョッパー、お前も来てくれ。悪いな、こんな事になって」
「ゾロ…。まだ、決まったわけじゃねぇけど…」
「ああ、分かってるさ」
ゾロはチョッパーの帽子をぽんぽんと叩き、優しく笑う。
その顔は、少し寂しそうにも見えた。

何とか立てそうだったので、ゾロと手を繋いでラウンジに入る。
まだ全員が揃っていた。
「ロビン!大丈夫?!」
「少し顔色良くなってきたね。あったかい飲み物持ってくるよ。今日はコーヒーよりホットミルクとかがいいかな」
「ええ。ありがとう…」
「びっくりさせんなよー!お前が凍らされた時のこと思い出したぞ!」
ルフィ、あなたもじゃない…と笑うと、そう言えばそーだな!と明るく笑っている。

「お前らに話がある」

ゾロが切り出した。
私を椅子に座らせ、自分も椅子を持ってきて横に座る。
なんだ、なんだ?!とみんながゾロに注目した。

「どうしたんだ?ロビン、どっか悪いのか?」
ウソップがたずねる。
みんなが心配そうな顔で私を見つめる。
気づいたら、私の手が震えていた。
このままサニーにいたい。
みんなに許してもらいたい。
でも迷惑がかかってしまう。
色々な思いが頭を巡る。
ゾロの手がぎゅっと私の手を握る。

「ロビンに子供ができたかもしれねぇ」

沈黙が走る。
みんなの顔が見れない。
「まだ決まったわけじゃねぇが…。その可能性が強いってことだ」
まだ沈黙が続く。
静寂は緊張を高め、恐怖を与えるものだ。

「俺とロビンで前に話をした。俺たちの子供を2人で育てたい。それが2人の新しい夢だと。もし、ここにいる全員が許してくれるなら、ここで親子共々暮らしていきたい。だが一人でも反対する人間がいれば、二人で船を下りる覚悟もある。ロビン一人で船を下りることだけは絶対にさせねぇ」

力強く、迷いのないゾロの言葉。
じんわりと心に染み渡る。
こんなに私の事を、私との未来を思ってくれている。

沈黙を続けていた一味が口を開き始めた。
私もゾロの手を強く握った。


つづく

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ