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□麦わらの一味
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ロビンの手が震えている。
連中を前にして初めて話す俺たちの決意。
認めてくれなくても仕方ねぇと理解している。
一味の負担が増えるのだから。
だが、思い入れのあるこの船を下りることを考えると、後ろ髪がひかれる思いがするのも正直なところだ。
やっと本当の仲間を得たロビンは尚更だろう。

とりあえず、言いたいことは言ったつもりだ。
ロビンの手は相変わらず震えたまま、俺の手を強く握っている。俺も更に強く握り返す。

最初に口を開いたのはナミだった。
「下りるって…本気なの?」
「ああ。反対する人間がいればな」
「私は嫌よ!二人が下りるなんて絶対嫌!あんた達がいなくなっちゃったら…どうすれば…」
「お前も二年間修業してきたんだろ。俺たちをあてにすんな」
パッと俺の顔を見るロビン。
はっと息をのんで、口に手を当てるナミ。
その目が潤んできた。ブンブンと首を振っている。
「ちが…」
ロビンも静かに首を振る。
「悪ぃ、言いすぎた…」
「違うぞマリモ。ナミさんが言ってるのは戦力のことじゃねぇ」
コックがフゥーッと煙草の煙を吐き出す。
「いくらアホのマリモでも、イーストブルーから一緒に戦ってきた仲間だ。それなりの思い入れもあるだろ。ましてや、ロビンちゃんは姉妹のように、親友のように過ごしてきたんだ。そりゃ寂しいだろうさ」
ワーッ!とナミが泣き出す。
コックの言う通りかもしれねぇ。
年が離れているとはいえ、気が合うところはあるようで、ロビンは俺といるとき以外はナミと過ごす事が多い。
二人っきりの女同士、深い絆があるんだろう。
俺が考えなしに言うべきではなかったと反省する。
ただ、ナミの気持ちは充分に伝わった。
「ナミ、ありがとう」
ロビンが声をかけると、ナミはロビンにすがりつくように抱きついてきた。

「…私からちょっといいですか?」
ブルックが手を挙げる。
「私ごときがすみませんが…私は賛成です。勝手ながらこの一味を家族のように思ってますから…。本物の血が繋がった家族がこの中に誕生する。こんな素晴らしいことがあるでしょうか。微力ながら、尊い命の誕生を、成長を、お手伝いさせて頂きたいと思います」
立ち上がって、紳士風にお辞儀をする。
祝福の言葉、と捉えていいだろう。
ひとまず胸を撫で下ろす。

「俺も賛成するぜ」
次に口を開いたのはウソップ。
「二人で逃げ回るより、この船で全員に守られてる方がいいんじゃねぇか?それによ、やっぱ寂しいぜ。ゾロのいびきと、ロビンのブラックジョークが聞けなくなるのも。この船の名物だからな。心配すんな。今までお前らに頼ってたけど、これからは正々堂々と戦う。ロビン、ゾロに比べれば頼りねぇけど、お前のこともしっかり守ってやるからな」

ロビンはぽろぽろ涙をこぼし始めた。
何度も何度も頷く。

「オレ、まだ医者として未熟だけど、ロビンと子どもの為にちゃんと勉強するよ!だから、船下りないでくれよ!ゾロみたいに修業して、強くなって、ロビンみたいに、いっぱい、本読んで、力に、なるから…うっ…うっ…」
チョッパーはナミと抱き合って、声をあげて泣き始めた。
感情的になるのも仕方ねぇ。
こいつらの反応は正直少し予想できた。

あとはフランキー、コック、そしてルフィだ。
感情に左右されることなく、冷静な意見を言ってくれるだろう。
何があっても、何を言われても、俺の覚悟は変わることはねぇ。

「お前らの意見を聞かせてくれ…」

つづく

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