拍手ページ作品

□麦わらの一味・2
1ページ/1ページ

ナミとブルック、ウソップ、チョッパーからかけてもらった心強い言葉。
嬉しくて、思わず涙がこぼれた。
迷惑をかけることの方が多いのに。
みんな、ありがとう。

「お前らの意見を聞かせてくれ…」
ゾロが残りの3人の方を向く。
この3人の考えによっては、私たちの運命は大きく変わる。

「オレもこいつらと同感だ」
フランキーは笑ってナミたちを指差す。
「オレがお前らを気に入ったのは、仲間と夢の為に命懸けるとこだ。しかも、それを成し遂げる強さがある。オレぁ夢のあるやつが大好きだ。夢がデカければデカいほどな。どうせなら、他人を巻きこんじまえよ。協力するぜ、お前らの夢」
一気にそう言うと、ウィスキーをグビッと飲み干す。
清々しい表情から、嘘ではないとわかった。
フランキーは、お前はどうなんだ、とサンジに声をかける。

「大事な話だからな…正直に言う」
煙草の火を揉み消して、私たちと目を合わせる。

「ロビンちゃんはもちろんだが、ゾロ、お前もこの船には必要だろ。悪ぃが下船なんてさせねぇ。お前みたいな自分にも他人にも厳しいヤツは、絶対にいなきゃならない存在だ。世界一の剣豪の夢はお前にしか叶えられないが、ここで子どもを育てる夢はオレたちが協力すれば叶えられるだろ。どっちも叶えろよ。お前ならできるはずだぜ」
「…ああ」

ケンカばかりのゾロとサンジだけど、実はお互い認め合っている。
タイプは違うかもしれない。
でも、心の中はとっても熱く、正義感に溢れ、簡単に意志を曲げないところは共通している。
そして、気にくわない相手でも、認めるところは認める、ということも。

ずっと腕を組んだまま、全員の話を聞いていたルフィ。
いくら、他のみんなが賛成してくれても、ルフィが下船を命令すれば、私たちはそこで一味を離脱しなければならない。
みんながルフィに注目するなか、ついに口を開く。

「…気に入らねぇ」

ルフィの一言に、さぁっと血の気が引く。
また倒れそうになるが、ここで倒れるわけにいかない、とこらえる。
みんなの顔も固まっている。
ゾロの手が冷たくなったように感じた。

「ゾロ、ロビン、お前ら下船なんて馬鹿なこと考えたのか?ふざけんな!一緒に戦ってきた仲間だろ!おれたちが信じられなかったのか?!おれたちは、お前たち二人を信じてるぞ!こいつらの話を聞いただろ?!誰一人、迷いも文句も言わなかっただろーが!」

ルフィの言葉が胸に刺さる。
ずっと欲しかった仲間たち。
やっと信じられた仲間たち。
その仲間を、なぜ私は信じなかったんだろう。

「ゾロ、お前の守りたいものは何だ。ロビンと、子どもと、世界一の剣豪の夢だろ。ロビン、お前の大事なものは何だ。ゾロと、子どもと、真実の歴史を知る夢だろ。二人に必要なのは何だ。ここにいる仲間だろ」

普段は少年ぽさが残る船長。
でも、こういう時のルフィの説得力の強さは異常だ。

「そんなもん、おれたちだって一緒だ!」

ああ、本当にこの一味でよかった。

「ゾロ!ロビン!船長命令だ!ここで子どもを育てろ!」

つづく

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ