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□一味であることの誇り
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一味から告げられる、それぞれの思い。
祝福。
激励。
叱咤。
信頼。
この一味の絆はこれほどまで強い。

「船長命令だ!ゾロ、ロビン、お前らここで子どもを育てろ!」

この船長の一言で、俺たちの今後の人生が決まった。
熱く込み上げてくる、感謝と安堵の思い。

「ロビーン!よかったー!ずっとここにいてくれるのね!」
「ロビン!ゾロ!おめでとう!」
「みんな、ありがとう…」
号泣しながらロビンに抱きつくナミとチョッパー。
優しく抱きとめるロビンも涙でぐちゃぐちゃだ。

「ゾロ、しっかりしなきゃな」
「ゾロさん、おめでとうございます!」
「めでてぇじゃねぇか!よかったぜ!」
オレにも祝福の言葉がかけられる。
一気に緊張の糸が切れ、ため息をついて思わず天井を仰ぎ見る。
「どうしたの?」
ロビンが俺の顔を窺う。

「いや…」
そこまで言って、言葉に詰まる。
連中の話を聞いてる間、覚悟は決めたと言ったものの、ルフィとの出会いからに始まる一味との数々の思い出が甦っていたからだ。
今の俺にとって、ロビンの存在はもちろんだが、この麦わらの一味であることの誇りは確かに俺を支えているものだった。
グッときたが、堪えなければ。

「いや…柄にもなく緊張しちまった…」
頭を掻いてなんとか誤魔化した。つもりだ。
ロビンがお疲れさま、と言って俺の手を軽く叩いた。
「でもよぉ、そもそもマリモが船を下りるなんつーことをわざわざ言わなけりゃ、ナミさんが泣くこたぁなかったんじゃねぇか?!」
コックに指を指され、連中からそーだよなー、と同意の声が洩れる。

「あ、あのなぁ!俺はただそう言う覚悟ができてる、と言っただけだろ!ここに残りたいって最初に言ったじゃねぇか!」
「じゃあそうとだけ言えばよかったのよ!一言余計なの!」
さっきまでメソメソしてたナミがいつものナミに戻った。
泣いたり笑ったり怒ったり忙しいヤツだ。
「ロビンちゃん、こんなアホに嫌気が差したら、いつでもオレの胸に飛び込んでおいで〜!」
オレの夢に協力するって言ってなかったか、こいつ…。
「それはないわ、サンジ。言ったでしょう?二度と離れないと」
はっきり言いきったロビン。
あちゃ、逆に当てられちゃったな、とコックは苦笑いする。
ああ、いい女だ。
「でもね、みんな、ゾロも言ったけど、まだ決まったわけではないのよ」
「ああ、もしそうだったら、の話だ」
「違ったらそれはそれでしょうがねぇだろ。思いが変わる訳じゃねぇ。また頑張ればいいだろ」
「頑張るってお前…」
「いやね、もう…」
ルフィの直球の言葉に、俺は呆れ、ロビンは顔を赤らめる。

「あ、ロビン!お前まだ本調子じゃないから休んだ方がいいぞ」
チョッパーの一言に、そう言えば、と我にかえる。
「今日は俺もついてるから。チョッパー、保健室一晩借りるぞ」
「うん。何かあったら呼んでくれ!」

ロビンをゆっくり立ち上がらせる。
二人で並ぶと、連中に向かって向き直る。

「ルフィ。ウソップ。ブルック。ナミ。フランキー。チョッパー。サンジ。
恩に着る。ありがとう」
一人一人の顔を見て、頭を下げる。
隣でロビンも頭を下げる気配がした。

「ニシシシ!いーよ!」
「もう、やめてよ…」
「なんて美しい涙なんだ!ナミさん!オレの胸貸してあげるよ!」

じゃ、行くか、とロビンの手を握る。
おやすみ、無理すんなよ、おめでとう。
色んな言葉を背に受け、扉を閉める。
保健室のベッドに座ると、俺とロビンは言葉もなく、ただただひたすら抱き合った。

つづく

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