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□声よ 、 届け 。
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なあ 、 俺の声に気づけよ … 。
声よ 、 届け 。
ザアザアと降る雨は 俺の小さな呟きを 掻き消した 。
「 え ? なんか 言った ? 」
俺のベッドに横なる " アイツ " は 、
見ていた漫画本から視線を外すと
あの黒目がちな瞳が 俺を捕える 。
… そうだよ 。
お前は俺だけ見てればいい 。
ジコじゃなくて 、 俺だけを見ててよ … 。
気づけば俺は 唇を噛み締めてた 。
唇が切れる 。 そう思った時には すでに遅くて 、
唇を舐めれば ピリっとした痛みと共に
鉄のような味が 口の中に広がった 。
「 うわ 、 ヒョン 。 血でてるよ ? 」
そう言えば ベッドの上から 少し離れたところに座る俺へと 手を伸ばす 。
俺より白い肌 。
俺よりちょっとだけ骨ばった指 。
そっと唇に触れた瞬間 、 俺の中で何かが切れた音がした 。
… 気がした 。
唇に触れていた手首を掴めば 、 顔を近づける 。
ガチャ ― …
「 あ 、 ジフナ 本当にいた 。 」
唇が触れそうになった瞬間 、
耳へと確かに届いた 大好きで 大嫌いな … ジコの声 。
少し慌てたように 俺から身を引く " アイツ " 。
「 ヒョン 、 どうしたの ? 」
目の前にいるのは 俺といた時とは違う ジフナの顔 。
心なしか嬉しそうに頬を染める顔は 、
決して気のせいでは ないだろう 。
ああ 、 … やっぱ 駄目なのか 。
現実を 見た気がした 。
頭を鈍器で殴られたようだ 。
だけど 傷みなんかない 。
「 ん 〜 … ちょっと DVD見ないか ? 」
「 ん 、 見る ! 」
元気にベッドから飛び降りては 、
ジコの元へと 駆け寄る 。
その後ろ姿を 俺はただただ 見つめることしかできなかった 。
「 好きだ 、 っつの … 」
… なあ 、 俺の声に気づけよ 。
俺の気持ちに 気づいてくれよ 。
ザアザアと 今も降り続ける雨は
俺の小さな呟きを掻き消した 。
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… 最後 2人が出てくとき 、
ジコが ジェヒョに向かって
笑みを浮かべていたのは
また別の話 。 kk