長編予定地

□ある飛行術教授の始まり
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とある夏の暑い日、ここホグワーツ魔法学校は夏休み期間のためシンと静まり返っていた。

そんな中、ホグワーツの廊下を闊歩する長身の男性が一人。
彼の名はロジィ・フェルナンド。
ホグワーツの卒業生であり、元『グリフィンドールの帝王』だ。

『グリフィンドールの帝王』とは何か、それについてはまたいつかお話するとしよう。

さて、迷いの全くない足取りで校内を進んでいる彼は真っ直ぐに校長室へと向かっている。
何やらボソボソと口が動いているので、聞いてみよう。


「…強引なんだよな、あのじぃさん。せっかくアイツと二人で楽しくやってたのにな〜」


なんと、微妙な表情でブツブツやっていたのは愚痴の類だったようだ。
初めての台詞が愚痴とは主役として報われない。
一応この物語の主役だというのに、全く嘆かわしい。


ピタリ、彼は目的の場所に到着したようだ。
ガーゴイル像がロジィを見下していた。
校長室に到着だ。

さぁ、一緒に合い言葉を言おうか?
ロジィに合わせて、サンハイ!
「何だったかな?じぃさんの好きな……レモンキャンディーっ!」


合い言葉に合わせてガーゴイル像が動き始める。
ロジィと一緒に現れた階段に乗ろう。なかなか面白い仕掛けだ。
あ!遅れないように気を付けて!

さて、これから校長室に入るよ。心の準備はいい?


「おぉ!ロジィ来たか!待っておったよ」

見えるかな?
あの真っ白なもじゃもじゃが、あの有名なダンブルドアだ。
ロジィに会えてとっても嬉しそう。
明るいブルーの瞳がキラキラと輝いている。


「ダンブルドア校長、ゴブサタで〜す」

ロジィも愚痴っていたくせに、片手を上げて何だか楽しそうである。
口調も改まっているようでいて、崩れたままだ。
仮にも最強の魔法使いにそんな態度でかまわないのだろうか。


「うむ、実に5年ぶりじゃな。今回は君がこの話を受けてくれて助かった。なかなか人が捕まらんでな」

「…受けてくれて、ねぇ?アルバスのせいで軽く俺たちの店、半壊しちゃったんですけどー?」


何だか雲行きが怪しくなってきたようだ。
この会話から推測するに、ダンブルドアは彼を呼ぶのに結構奇抜な作戦を使った様子。
きっと相手をノイローゼにさせる勢いで手紙を送ったのだろう。ロジィには同居人がいるらしいので少し可哀想だ。


「…ゴホン。まぁ、ロジィがホグワーツに来てくれた事に変わりはないじゃろ?」

ダンブルドアがロジィから見事に目を逸らし話題も逸らす。
多少は常識も考えられるのだろうか。…それに対して、ロジィは少しばかり呆れ顔。

「はぁ…。確かにうちの相方がブチキレて俺をホグワーツに寄越したってか追い出されたけどさ。」

深いため息には彼の同居人が少なからず関係している。これについてもいつか話す時が来るだろう。
さて、少し話が進みそうだ。二人の様子に戻ろう。


「反省はしておるのじゃ。しかし、君たちなら分かってくれるとワシは信じておったよ」

「……OK、じゃ仕事の話を詳しく聞いてもかまわない?」

手近にあったソファにどっかりと腰を下ろしたロジィが、ようやく本題に入るよう促す。


さあ、物語はココからが幕開けだ。





 

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