短編・中編
□夢をみたんです
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とある荒野に蛇顔の男と一人の少年が向かい合っていた。
「ハリー、俺様と勝負しろ」
蛇顔の男、かのヴォルデモート卿は杖を一振りして言った。
「望むところだ!」
ハリーは自分の気持ちを奮い立たせるかの様に叫んだ。
彼らの前には…
ヤンマーエコトラ。
…つまりトラクター。
「俺様、コーナリング上手いから負けないもんね」
ふふんて得意気に鼻を鳴らしながらガタガタと乗り込むヴォルデモート卿。
「ヴォルデモート、分かってると思うけど、僕が勝ったらもう付きまとわないで」
運転席からひょっこりと顔を出して言うハリーに、卿は頷いた。交渉の第一歩はOK。
あとは相手の言い分を聞くだけとなる。
「じゃあ俺様が勝ったらハリーは俺様のモノだ」
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「って夢を見たの」
ロジィは談話室でうなだれていた。
「…結局どっちが勝ったの?」
彼女の向かいに座るロンは呆れ顔で問いかけた。その隣のハリーは余りのショックに固まってしまっている。
「…ヴォルデモートが勝って、ハリーをハニーって呼んでた。」
ロジィの隣でハーマイオニーの目が輝く。腐女子なのかもしれない。
「ロジィ、それは君の深層心理だと思って間違いないかな?」
復活したハリーはロジィに黒い笑みを見せた。
その後しばらく、ロジィがハリーを見る度にビクつく姿があった。