パウリー

□天秤にかけたモノ
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「…ワリィ、もーう1回、1から説明してくんね?」


『テメェいい加減にしろよ…何回同じ話しさせんだクソッタレ!!』


女の姿をしたロンがテーブルをダンッ!!と叩いたせいで、山積みになった煙草の吸いガラがジェンガの様に崩れ倒れた。


この汚れたテーブルは誰が掃除するんだよ。そんな事をボーッと考える俺の頭は、余程この現実から目を逸らしたいらしい。


「はぁ…お前、さっきから結果しか話してねぇじゃん。そうなるに至った行程を順序良く話せよ」


『チッ…分かったこれが最後だ。次聞き返しやがったらその耳穴、ミノでかっぽじってやるからなッ』


鼻息荒いコイツが吐き出すため息より、何倍も重いため息がこの口から漏れ出す。


『今日、お前等が、最後の工程に、入った頃、俺は、アップル海賊団の所に、納品日について、説明に、行き「理解出来てるから普通に話せ」ムカァ!!』


ムカァ!!は俺の台詞だろ…いや本当…何だか目眩がしてきたぜ。


『フンッ!!まぁその時に、支払いはコレで頼む。って変な箱渡されたんだよ。そーゆーの困るって突っぱねたんだけどさぁ…とりあえず、とりあえずあの秘書に!!って聞かなくてよ』


なら素直にカリファん所持って行きゃ良かったじゃねぇか。ってか持ってけよ…いやそもそも受け取るな。


『渋々そのまま船出て、一応中身確認したらさぁ〜、初めて見る果物が入ってて“カリファさんへ”とか手紙も入ってんの。しかもピンクの封筒!!キッモ!!』


サブイボ立つわ!!とかどうでも良いから早く話せ。


「…で?カリファに贈られたもんを何でテメェが食うんだよ」


『え、だってアイツ潔癖なのか用心深いのか知んねーけど、知らねぇ奴から貰った食いもんとか絶対食わねぇじゃん』


シレッとしやがって…絶対自分が腹減ってたってだけの理由だな。絶っ対。


『捨てられるの分かってて渡す事もねぇかなーとか思って…一口かじってみたんだよ。ホラ、初めて見るもんだったし?味見してみようかな〜って』


…卑しい奴め。


『そしたら、クッソ不味いの!!マジ口ゆすごうが煙草吸おうがあのゲボ不味い後味が取れねぇしもう最悪!!とか思ってたらさ…』


「………女になったってか?」


コクン。じゃねーよ…うわっム、ムネを揉むな!!自分のを揉むな!!


『どゆ事?!って思って慌てて同封されてた紙見たらさ…あれ、ラブレターじゃなかった』


ショボンとするコイツは俺の方へグシャグシャになった、件のピンクの封筒を忌々しそうに投げ寄越した。


「……」


『……』


「………」


『………いや読めよ。この流れで放置するってどーゆー神経してんだお前』


…読みたくねー。
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